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ドッグフードに添加されている合成の酸化防止剤は、天然の酸化防止剤に比べて危険ですか?

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ドライフードには、合成の酸化防止剤を使っているものと天然の酸化防止剤を使っているものがあります。天然のものと合成のものでは、安全性に違いがあるのでしょうか。

天然のものは自然界に存在しているものだから安全といえる?

 自然界には、さまざまな物質があります。それらの物質の中には、生き物の活動に害を及ぼす作用のあるものはいくらでもあります。自然界の動物や植物で、わたしたちが「毒があるから食べてはいけない」ものといえば、フグの胆にあるフグ毒(テトロドトキシン)の毒性は青酸カリの数百倍ですし、トリカブト毒(アコチニン)もよく知られています。キノコも、毒があるものとないものが存在しています。
 自然界の生物には、このように毒をもっているものがいくらでもあります。毒があると、他の生物に食べられなくなるなどの利点があるため、そのような例は多いのです。

 さらに、わたしたちの体に必要な栄養素ですら、過剰に摂取すると健康に害を及ぼすものはいくらでもあります。わかりやすいところで、塩分です。塩化ナトリウムは、体重1kgあたり0.5~5gが推定致死量です。大人の塩分の1日の摂取目安は5~8g程度といわれていますが、その10倍~50倍も一気にとれば致死量となるわけです。いつも食べている天然の食品でも、いくら食べても安全ということではないのです。
もちろん、致死量ほどの塩分を一度に食べようとしても、しょっぱすぎてまず食べられません。わたしたちは、塩分を生命維持に欠かせない栄養素として適切に摂取しながら、多くの場合、体に急激に害を及ぼすほどは摂取せずに済んでいるのです。また、犬の場合、自然界では動物性の食材から塩分を多量に摂取しているため塩分を排泄する能力も高く、心臓病でない限りは、少しくらい塩分を多くとっていても腎臓や心臓に負担がかかることはありません。
 このように、身のまわりのさまざまな物質は、適切な量であれば体に問題がない、あるいは健康の維持に重要な働きをする物質でも、極端に度を越して体内に入れば健康や生命に影響を与える場合があるという側面を持っています。

使っていい添加物の量はどうやって決めている?

 食品やペットフードの酸化防止剤は、食品やペットフード、またはその原材料の安全性を保持するうえで必要なものに限って、必要かつ安全な量のみ使われています。
 人の食品添加物については、食品衛生法に基づいて、厚生労働省が指定添加物(天然・合成双方を含む)と既存添加物(天然由来で経験上安全とされるもの)に分類して、それらに限って使用できることとしています。指定添加物は、安全に使用するために使用できる食品と使用量の最大限度が定められています。
 指定添加物は、はじめ合成添加物のみに対して指定されてきたのですが、天然由来の添加物の安全性も検討するうえで、長年使用されてきたことで安全だと考えられるものについては例外として「既存添加物」として分類しました。既存添加物の多くには現在、使用量の基準は設けられていませんが、日本食品添加物協会が自主規格を設けています。

 ドッグフードに使用される添加物については、長年、メーカーが独自に安全基準を設けて使用してきました。「ペットフード安全法」の成立によって、ドッグフードに使用される添加物の成分規格(使用していい上限値)と、使用してはいけないものが定められました。「ペットフード安全法」に成分規格のない添加物をドッグフードに使用する場合は、各メーカーが製品の安全性を管理する責任があります。多くは人の食品の指定添加物や飼料用の使用基準に照らして、犬に使用する場合の安全量を厳格に割り出して使用しています。輸入品やグローバル企業のドッグフードなどでは、日本と同様なレベルで運用されている外国の使用基準に照らしている場合もあります。また、「ペットフード安全法」で定める安全基準は、施行後も、科学的知見に基づいて追加、見直しが行われています。

 では、添加物の使用量の限度とは、どのように決められているのでしょう。
 人の食品の指定添加物の場合についてまず説明しましょう。
 まず、ラットやマウスなどの動物を用いた試験の結果をもとに、食品安全委員会や国際的な機関がこの量までなら無害と確かめた量を、最大無毒性量といいます。さらに、ちがう動物に使用することを考慮して人の最大無毒性量をその10分の1とし、個体差を考慮してさらに10分の1にしたものを、毎日食べ続けても安全な量として、1日摂取許容量(ADIとも略されます)としています。
 さらに、複数の食品を食べても1日摂取許容量を超えないように、厚生労働省によって、1日摂取許容量を大幅に下回る使用基準が定められています。

 「ペットフード安全法」で定められている添加物についても、農林水産省によって、人の食品と同様に使用基準を定めています。
 このように、ドッグフードに使われている酸化防止剤などの添加物は、毎日食べ続けても健康被害が起きない安全な量が使用されています。「ペットフード安全法」で定められている添加物については、FAMIC(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)によって、製品中に含まれる量が抜き打ち検査され、その結果は公表されています。万が一、安全基準を逸脱する製品があった場合には、企業がそれを回収しなければなりません。

 食品の指定添加物やペットフードに成分規格のある添加物などについて、よく、「合成添加物の〇〇〇は、動物実験でこのようにがんが発生した報告があるから危険だ。使用しないでほしい」といった意見があります。しかし、これは、試験結果を正しくとらえていません。試験結果は、「ここまでの量を使用しないと健康被害が起きない」という無害毒量を割り出すための試験です。さらに、その量を100分の1にまで減らした量を1日摂取許容量にし、さらに減らした量が食品やペットフードに使用する際の使用基準に決められています。ですから、使用基準内の添加物は、科学的に安全が確認されているといえるのです。
 ではなぜ、天然の酸化防止剤もあるのに、合成の酸化防止剤を使っているフードがあるのでしょう。天然由来のものよりも合成のもののほうが、製造段階での喪失も少なく、効果が長期間持続するなど、少量で安定した酸化防止の役割を果たすためです。

 ところで、酸化防止剤は、食品やドッグフードの質を守る最低限度の量が使われていますから、永遠に酸化が防止できるわけではありません。ドライフードを開封したら、できるだけ空気を遮断するように保管し、1カ月程度で使い切らないと酸化が少しずつ進んで風味が悪くなります。開封前でも、賞味期限内に使い切りましょう。ただし、賞味期限を過ぎたら突然食べられなくなるわけではありません。

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監修/徳本一義(獣医師)

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