いつまでも捨てられないもの｜連載「こぐま犬てんすけ」vol.255

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お空に行ったお友達わんこのパパさんたちに会った時

こんにちは、スズメ天狗。です。
てんすけに仲良しのお友達犬がいました。
体は大きいけど、子犬のてんすけに優しく良く遊んでくれましたお友達です。
私にも懐いてくれ、みんなが大好きなお友達だったんですが、４年前にお空へ行ってしまいました。

そのお友達わんこのパパさんママさんに先日、久しぶりに会いました。
お話してる時に、パパさんが出してきた一枚の板。そこには無数の傷跡がありました。

「捨てられないんですよね、これ」

その言葉を聞いた瞬間わかりました。
お友達わんこが爪で引っ掻いた傷だと。

私も、てんすけが子犬の時に噛んだご飯皿やブラシを捨てられずに置いてあります。

多くは語られなかったけれど、やんちゃであっただろう頃に付けたその傷を見るだけで、あのわんこの笑顔を思い出せます。
そして、それを捨てられないパパさんの気持ちが痛いほどわかって切ない気持ちになりました。

てんすけはその板に近寄ってフンフンと鼻を動かし、その様子を見たパパさんたちは
「分かるのかな、あの子の匂いが残ってる？」
と、少し嬉しそうでした。

私はきっと、てんすけは思い出したと思います。
あの優しかったわんこを。

他の人にはただの傷だらけの板ですが、大切な思い出が残っているんですよね。
もしかしたら、てんすけがクンクンした時、どこかで見ていてくれたかもしれない。
きっと見てくれたよね。

これからもてんすけを見守っていてね。