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犬の知能はスズメにも劣る?【穴澤賢の犬のはなし】
Vol.23 犬の知能はスズメにも劣る?
先日、信号待ちをしていたときのこと。片側2車線のその道路には中央分離帯があり、ちょっとした植え込みになっていた。ふと見ると、植え込みの影から一羽のスズメが道路に降りて、しきりに何かをつついていた。どうやらカナブンか何かが落ちているらしく、それをどこかに運びたいのだが、スズメのクチバシには大きすぎるのか、なかなか手こずっている様子だった。しかしそこは道路の上。いつ車が来るかわからない。
大丈夫かいなと思いながら何げなく見ていると、案の定スズメの後方から一台の車が近づいてきた。すると、スズメはすっと中央分離帯に飛び移り、車をやりすごすとまた道路に降りてカナブンをつつきだした。信号待ちをしている間、何度かそんなことを繰り返していた。その様子を見ていて、思わず唸ってしまった。
スズメは、道路が危険だということを知っている。それでも食べるために危険を冒して道路に降り立つ。そして車が来たら、ちゃんと避ける。あんなに小さい頭で、自分で考えて、それができる。すごいじゃないか、と思ったのだ。そんなの当たり前だと思うかもしれないが、スズメだからすごいと思う。
大吉は、道路が危険だということを知らない。大きなトラックや、でかい音を出すバイクを怖がることはあるが、一般的な車がすぐ横を通っても、おそらく何とも思っていない。その証拠に自ら避けようとするそぶりもない。一頭だけで道路に飛び出したりしたら、一巻の終わりだろう。スズメでもできることが、大吉にはできない。
大吉だけではない。富士丸も危険を察知する能力が低く、バーベキューをしているときに、燃えさかる炭がごろごろ入っているバーベキューコンロに自ら近づいて、毛の一部を焦がしたことがある。近づいたら熱いからわかりそうなものなのに。火傷こそしなかったからよかったものの「お前の本能と熱感知能力はどうなっとんねん」と思ったものだ。
思うに、犬は人間と一緒に暮らしていく中で、危険を回避する部分の多くを飼い主にゆだねるようになってしまうのではないだろうか。道路を渡るときもリードを引かれているから危険はないし、何か危ないことがあっても、飼い主がさっと避けてくれるから自ら危険を察知しなくていい。
だから飼い犬が危険に鈍感なのは、人間のせいかもしれない。そんな犬に危険が迫らないよう守っていくのも飼い主の責任なのだろう。とはいえ、本来、動物にとって危険を避けるというのはもっとも重要な本能だと思うが、そこすら人に委ねてしまっていいのか。しかしまぁ、委ねられてしまったものは仕方ないか。
そういう意味では、どっぷり人間と一緒に暮らした犬より、もしかしたらスズメのほうが賢いんじゃないかと思うことがある。ただ大吉は大吉で、夕方、散歩の催促をする時間がやたら正確だったり(誤差5分とかそれくらい)、出かける準備をはじめただけで目を輝かせたり、身体を洗われる空気を察知すると隠れようとするが、そういう特殊能力はスズメにはないのだろう。いずれにしても、大吉のリードはこれからもしっかり持ってやらないといけないな。
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