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大吉の寝相【穴澤賢の犬のはなし】

Vol.55 大吉の寝相

寝ているときに触っても起きない犬がいることは、大人になってから知った。子どものころ実家で飼っていた犬はいつも玄関の犬小屋にいて、眠っていても誰かが近づくと必ず起きた。警戒しているというよりは、かまってもらえると喜んでいたのかもしれない。だから、熟睡している犬の姿を見たことがなかった。
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大人になってからはじめていっしょに暮らした犬は違った。昔と違って家の中、といっても狭い1DKだったが、部屋の中では自由にさせていたので、飼っているというよりは同居人という感じだった。いつもいっしょにいるので気が緩んだのか、眠っているときにちょっと触ったくらいでは起きなかった。
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ただし、その富士丸という犬が熟睡するのはだいたい自分専用のベッドだけで、人間と添い寝するようなことはなかった。仮に添い寝しようとしても、少しするとさっと自分用の寝床へ行ってしまう。やはりそこは多少なりとも野生の血が残っていて、触られるくらいならかまわないが、無防備な体勢で長時間人と接するのは避けようとするのかもしれないと思っていた。
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富士丸と暮らしはじめたころは、厳しくするところは厳しくしなければいけないという意識があったため、子犬のときから人間用のベッドにあげたりせず、自分用のベッドで寝るようしつけたせいもあったのかもしれない。やつが大人になってからは別にどうでもよくなってきて、人間用のベッドに勝手にあがっていようが怒ったりしなくなっていたが、そこでいっしょに眠ったりすることはなかった。男同士で気持ち悪い部分もあるが、それだけはちょっとだけ残念だったかなと思う。
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その点、大吉はどうなのかというと、変に気負っていない分ゆるくなっていて、迎えたその日からふつうに人間用のベッドでいっしょに眠っている。大吉もそれが当然だと思っているのか、寝る時間になると自らぴょんとベッドに飛び乗ってくる。大吉も寝ているときに触っても起きない。少々ゆすっても起きない。が、2時間おきくらいに起きては場所を移動する。足下で丸くなっていたかと思うと、頭の上のほうにいたりと、1才くらいまで夜中にゴソゴソしていた。それが犬の睡眠サイクルなんだろうと思っていた。
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しかし、いつのころからか、寝たときの体勢をほとんど変えないまま朝まで寝ているようになった。多少は動いているようだが、それは人間でいうところの「寝返り」程度で、昔のように一旦起きて場所を移動してから改めて眠る睡眠スタイルとは明らかに違っている。現在はダブルベッドの真ん中が大吉の定位置となっているのだが、朝起きてもそこに寝ているのだ。だいたい6〜8時間はそこで寝ていることになる。
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自分が酔っぱらってぐっすり寝ているから気付かないだけで、実は夜中に動いているのかと思い嫁にも確認してみたところ、夜から朝までずっとそこで寝てるらしい。しかも、人間より起きるのが遅かったりする。ちょっと早起きしたりすると大吉はまだぐっすり眠っていて「そろそろ起きろよー、散歩行くぞー」と人間が大吉を起こしたりすることもある。それは犬としてどうなのか。大丈夫かお前、と思う一方、実は子どものころ、犬といっしょに眠るのが夢だったことを思い出した。
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