怯えていた野犬の子犬を家族にお迎え→3年後には“自信に満ちた表情”と、たくさんの嬉しい変化が！

「表情の変化」に驚く！

怯えた表情をするこのちゃん。 — お迎え当時のこのちゃん。名前の由来は「この世の終わりみたいな顔をするから」。そこには「この世の光を感じてほしい」という願いも込められています。

今回紹介するのは、X（旧Twitter）ユーザー@konokonohouseさんの愛犬・このちゃん（取材当時3才）。このちゃんは、元野犬でした。

こちらの写真は、このちゃんをお迎えした当時に撮影した一枚。このちゃんの表情からは、怯えていて不安そうな様子が伝わってきます。

そんなこのちゃんは、生後推定3カ月のころにご縁があって飼い主さんの家にやってきました。飼い主さんのもとで過ごして3年——このちゃんは驚くほどの変化を遂げたようです。

3年後の現在、自信に満ちた明るい表情を見せるように

笑顔が可愛いこのちゃん。 — 現在のこのちゃん。「毎日見ていると気がつきにくいですが、過去の写真と現在を比べると、顔つきも体つきもだいぶおとなの犬に成長しました」と飼い主さん。

このちゃんは自信に満ち溢れた表情で、堂々とした姿を見せるまでになっていました。顔つきが変わり、明るくて穏やかな表情です。まるで“別犬”のようになった表情の変化に驚きます。

飼い主さん家族のもとで、穏やかに過ごしているこのちゃん。どのような経緯で家族に迎え入れたのでしょうか。いぬのきもちWEB MAGAZINEは、出会いのエピソードなどについて飼い主さんに詳しく話を聞きました。

このちゃんとの出会い

犬と暮らすことを考えていた飼い主さん家族。当時、犬の里親募集サイトで迎え入れるコを探して問い合わせるものの、なかなかご縁に恵まれなかったそう。

そんな日々を過ごしているときに、このちゃんの募集情報が流れてきたといいます。

飼い主さん：
「掲載されていたこのちゃんの動画が、鼻についたゼリー状のおやつをきょとんとした表情でなめる様子だったのですが、その姿が可愛くて可愛くて。ただ、私は応募疲れをしていた時期だったため、すぐに応募しようという気持ちにはなれなかったんです」

このちゃんのことが気になるものの、応募するには迷いがあった飼い主さん。なかなか家族が決まらないこのちゃんのことが気になり、来る日も来る日も同じ動画を繰り返し見ていたそう。

そんなある日、夫が飼い主さんの背中を押してくれたといいます。

飼い主さん：
「夫が『そんなに気になるなら問い合わせしてみれば？』と言ってくれたんです。その言葉がきっかけで、もう一度応募する気持ちになり、掲載の期日となっていた日に掲載元へメールを送りました」

そこから面会、トライアルへと進み、飼い主さん家族はこのちゃんと正式に家族になることが決まったのでした。

少しずつ変化、成長していくこのちゃんの姿を見て、感動する日々

テーブルの下以外でも過ごせるようになったこのちゃん。 — テーブルの下以外でも過ごせるようになったときの様子。

家に迎えたばかりのころのこのちゃんはテーブルの下に隠れてしまい、なかなか出てこなかったそう。

飼い主さんの姿を見て目を見開いて後ずさりしたり、眉間にシワを寄せて怯えたり。夫の姿を見ただけでウンチを漏らしてしまったり、抱っこするとブルブルと震えたりと、心の底から怖がっていたといいます。

そんなこのちゃんの姿を見ていて、飼い主さんは「これから大丈夫なのだろうか」と、毎日不安だったと振り返ります。

笑顔を見せるこのちゃん。 — 初めてほかの犬のお友達と楽しく遊べて、嬉しそうに帰宅したこのちゃんの様子。

また、最初の3カ月ほどは外を怖がっていたため、散歩に行くこともできなかったのだそう。ようやく散歩に行けるようになっても、車や人が近くを通るたびに転げ回ってパニックになってしまうこともあったそうです。

大変なこともたくさんあったけれど、飼い主さん家族はこのちゃんの気持ちに寄り添い、日々向き合っていきました。すると、このちゃんに嬉しい変化が見られたといいます。

飼い主さん：
「このちゃんがようやく少し落ち着いて歩けるようになったころ、今度は私が犬の友達をどう作ってあげたらいいのかわからず、途方に暮れていた時期がありました。

そんなときに近所の公園でほかの犬の飼い主さんに声をかけてもらい、その方のお誘いでほかのワンちゃんが集まっている輪の中に入れてもらえることになったんです。

初めてこのちゃんをほかのワンちゃんたちの輪の中に入れてみると、このちゃんはそれまで絶対に振らなかったしっぽをビュンビュン振って、とっても嬉しそうにしてくれました」

常に不安そうにしていたこのちゃんを見ていて、飼い主さんは「このコはずっと“嬉しい”という感情をもたないままなのかもしれない」と思うことがあったそう。

そのため、ほかの犬と楽しそうに交流するこのちゃんの姿を見たときは、感極まって思わず泣いてしまったといいます。

今ではたくさんのお友達が！

散歩中におやつをもらうこのちゃん。 — 散歩中におやつをもらっていたときの様子。

3才になった現在は、このちゃんにたくさんのお友達ができました。犬友さんや公園で毎朝会う散歩中の方たちからも「このちゃん、このちゃん」と呼ばれて可愛がってもらっているそうです。

最近では、散歩中にこんな嬉しい姿も。

飼い主さん：
「子犬のころは食に無関心かと思っていましたが、最近では散歩中にいつもおやつをくれる大好きな方たちを見つけると、全力でしっぽを振って甘えるようになりました。

散歩の練習を始めたばかりのころは、人の姿を見かけるとまるでリアクション芸のように転がり回ってパニックになっていたので、見ず知らずの人にまで愛想を振り撒くようになったのはとても大きな変化だと感じています。

初期のころからこのちゃんを知っている人たちからは、『このちゃんほど変化した犬を見たことがない』と言われるほどです」

以前は車でお出かけをすると、出発して10分もしないうちに酔って吐いてしまっていたそうですが、少しずつ慣れる練習を重ねた結果、今では長距離の旅行にも行けるように。

夏の時期は暑かったため、朝の散歩でも近くの公園まで車で行くことが多かったそうですが、このちゃんは「車に乗ると公園に行けてお友達に会える」とわかったのか、自分から進んで車に乗り込めるまでになったそうです。

このちゃんは“魔法みたいな存在”

飼い主さん家族と暮らすうちに、少しずつ素の部分を見せてくれるようになったこのちゃん。性格はやんちゃで好奇心旺盛で、感情表現がとても豊かなのだとか。

大好きな人にしっぽを全力で振るようになったこのちゃんですが、「実は私や夫にはあまりしっぽを振ってくれません」と飼い主さん。

それでも、近くに寄るだけで逃げ回っていたお迎え当初と比べると、ソファで添い寝を受け入れてくれたり、冬はベッドで寄り添って寝たりと、ちゃんと心を開いてくれているのかなと感じるそうです。

このちゃんのちょっとしたしぐさにクスッと笑ったり、ただいてくれるだけで愛しくてたまらない気持ちになるという飼い主さん。

“魔法みたいな存在”だというこのちゃんへ、こんな思いを語っていました。

飼い主さん：
「今年の4月ごろ、私は仕事で猛烈に忙しかった時期がありました。ストレスで心身ともに参りかけていたのですが、そんな飼い主の気分に関係なく、このちゃんはお外に出ればご機嫌なんです。そして、ご機嫌に揺れるこのちゃんのしっぽ、楽しそうなこのちゃんの様子を見ると、心がふっと軽くなる感覚がありました。

さらに、お外に連れ出された私は、ほかのワンちゃんの飼い主さんと他愛もないおしゃべりをすることによって、気分転換の機会も得ることができたんです。あのときこのちゃんがいなかったら、もっと体調を崩していたかもしれません。

このちゃんの存在に救われているのは、私のほうだなと感じています」