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大福と雲海を見に行く【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

この前、祝日の前夜に妻が突然「明日の朝、雲海ゴンドラ行かない?」と言った。雲海ゴンドラとは『富士見パノラマリゾート』が期間限定でやっている催しで、土日祝に限り朝5時半からゴンドラを動かし、運が良ければ雲海が見られるというものらしい。わが家からは車で30分ほどだが、5時に出発しようと思うと4時半には起きないといけない。

大福が喜ぶ顔が見たいから

私は釣りのためなら3時起きでも4時起きでも苦に感じないが、見られるかどうか分からない雲海のためとなると話は別だ。そもそも、雲海にそれほど魅力を感じていない。だから妻には「うーん」と気乗りしない返事をした。
でも雲海はひとまず置いといて、大福はきっとイレギュラーなおでかけを喜ぶだろう。彼らも雲海なんかどうでもいいはずだが、その後、入笠山に登ればごきげんなのではないか。私は基本、大福中心に考えて行動するので「よし、行ってみるか」となった。
入笠山の麓に着くと、一面霧が立ち込めていた。上もこんなならアウトだなと思ったが、とりあえずゴンドラに乗って登っていく。すると次第に霧が薄くなり、遂に脱出した。ゴンドラからでも雲海が見える。
上でゴンドラを降りて、見晴らしのいいところへ行くと、眼下に見事な雲海が広がっていた。雲海なんて飛行機に乗ったときくらいしか見たことがないが、こうして眼の前に広がっているのを眺めるのも、それはそれでいいものだなと思った。

想像以上の楽しい経験

ありがたいことに、ゴンドラ乗り場に併設されているレストランはすでに営業しており、朝食を提供してくれていた。そこで卵かけご飯と豚汁を注文し、外で景色を眺めながら食べると、ものすごくおいしく感じた。来てよかった、と思った(このときの動画は『インスタ』にもアップしたので見てみてね)。
私はこういうことにすぐ手のひらを返すので、ここを読んでくれている人に言いたい。雲海ゴンドラは行ってみたほうがいいよ(2025年は11月24日までの土日祝日のみ)。
富士見パノラマリゾートに朝5時半に着こうと思うと、夜出発しないといけないケースが多いと思うけど、寝不足で運転するのは危険だし、犬もゆっくり眠れないので、前日に八ヶ岳に来ておいて早起きしたほうがいいと思う。5時半着がマストではないが、8時ころになると雲海は消えることが多いので、早朝にしたほうがいい。
雲海を見た後は、大福と入笠山に登り、頂上でまた雲海を見た。登って降りて2時間程度だし、それほど険しい道はないので(頂上付近はちょっとしんどい)、初心者でも大丈夫だから登ってみるのもいいと思う。
何を隠そう、私も以前は「登山なんて絶対しない」と断言していたが、誘われて試しに入笠山に登ってみたら、大吉はもちろん、意外にも福助が山登りが好きだったことが判明し、それからは犬と登れる山に行くのが楽しみになった。だから登山に興味がない人も、雲海ゴンドラついでに入笠山に登ってみるといいと思う。それで犬が喜べば、あなたもきっと私のようになる。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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