愛犬が眠るとき、そっと体を寄せてくることはありませんか?その姿に癒されつつも「なぜ毎回くっついてくるの?」と気になる飼い主さんもいるかもしれません。実はその行動には、犬ならではの心理や習性が隠れています。
今回は、犬が飼い主さんにくっついて眠る理由を、安心感や信頼といった心の動きとあわせて、いぬのきもち獣医師相談室の岡本先生に伺いました。
犬にとって「ぴったり寄り添う」は愛情の証
犬が飼い主さんに体をくっつけて眠るのは、信頼と安心の気持ちが表れた行動です。犬は本来、群れで生活していた動物です。群れの仲間と寄り添って眠ることで外敵から身を守っていました。
特に飼い主さんと一緒に暮らす愛犬は、飼い主さんのことを「安心できる存在」「自分の仲間」として認識しています。そのためぴったりとくっつきたがるのは、愛犬が飼い主さんを信頼している・心を許している サインともいえるでしょう。
子犬のとき の習性が影響していることも
犬が生まれたばかりのときは、母犬やきょうだいと常にくっついて眠ります。その時期のぬくもりや安心感の記憶が残っていると、成犬になっても、誰かに寄り添って眠りたがる傾向があります。
このような習性から、成犬になっても飼い主の体に触れながら寝たがる犬も多くいるのでしょう。特に甘えん坊な性格の犬や、さびしがりやな性格 の犬は、常にくっついていたがるしぐさが見られがちです。
体温調節のためにくっついていることもある
犬がくっついて眠るのは、心の安心感だけでなく、体温調節のためというケースもあります。特に寒い季節や、気温が低い時間帯では、飼い主の体温に触れることで温かさを感じられます。
小型犬や被毛が短い犬は寒がりな傾向があり、体温を保つためにくっついて眠ることが多くなります。ただし、暑い季節にまで密着してくる場合は、体調に変化がある可能性もあるため、様子を観察しましょう。
飼い主さんが気をつけたいこと
愛犬がくっついて眠ってくれるのはうれしいことですが、以下の点には注意が必要です。
①体調不良や不安のサインかも
いつも以上に頻繁にくっついてきたり、震えていたりする場合は、体調不良やストレスを抱えているサインかもしれません。健康状態を確認し、必要であれば動物病院で受診しましょう。
②犬だけで寝させる時間も大切に
飼い主さんと毎晩一緒にくっついて寝ることに慣れすぎると、愛犬がひとりで寝ることができなくなるケースもあります。しつけの観点からも、日常的に一緒にくっついて寝るのではなく、愛犬が安心できる居場所(クレートやハウスなど)をきちんと用意して、基本的にはそこで寝かせる習慣にするほうがお勧めです。
③過度な甘やかしにならないように
犬が甘えてきたとき、常に応じていると要求行動がエスカレートする場合があります。バランスを取りながら、しつけや日常のルールを保ちましょう。
愛犬の「眠る場所」にこめられた気持ちを理解しよう
犬が飼い主にくっついて眠るのは、甘えの気持ちもあるものと思いますが、とても深い信頼関係の証でもあります。その気持ちを理解しながら、その一方で、愛犬が一頭で過ごす時も心穏やかに落ち着いて過ごせるよう、生活環境や習慣に気をつけて接してあげることが、より良い関係づくりにつながります。
くっついて眠る愛犬の姿を大切に受け止めつつ、心地よい距離感を見つけていきましょう。
文/いぬのきもちWeb編集室
監修/いぬ・ねこのきもち獣医師相談室
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性がない場合もあります