「どうしてゆずは、放浪することになったの? 何を食べて命を繋いでいたの? 不安で寂しい夜をいくつ過ごしたの?
もう二度と、ゆずにそんな寂しい思いはさせないよ」
こう話すのは、元保護犬・コーギーのゆずちゃん(♀・推定2才)の飼い主さん。
ゆずちゃんは、ひとりで畑を駆け回っているところを保護されたコでした。そんなゆずちゃんが今の飼い主さんと出会い、どのような日々を過ごしているのか、ゆずちゃんの今の姿を紹介します。
ゆずちゃんが保護されたことを知り、運命を感じた
ゆずちゃんと出会う前、飼い主さんのおうちには先代犬・コーギーのきららちゃんがいました。
きららちゃんが突然の病気で虹の橋を渡り、2年半が経ったある日のことです。
保護団体「ゆめまるHAPPY隊」にゆずちゃんが入隊した、という記事を飼い主さんは目にします。
「ゆずは、我が家の近所の畑を駆け回っているところを保護されたようで。『俺が飼うしかない!』と何か運命的なものを感じたんです」と、飼い主さんは当時を振り返ります。
「ゆずちゃんを引き取りたい」と強い思いを抱いていた飼い主さん。そして、何組かいた候補者の中から飼い主さんご家族が新しい飼い主に選ばれ、ゆずちゃんと家族になることができたのでした。
生い立ちは不明だけれど、ゆずちゃんと一緒に過ごす中でわかってきたことも…
ゆずちゃんはどうして放浪していたのか? 捨てられてしまったのか、それとも迷子になってしまったのか……。畑で保護されたということもあり、ゆずちゃんの生い立ちは誰も知りませんでした。
いずれにせよ、保健所への届けはなかったよう。
しかし、ゆずちゃんと一緒に過ごす中で、飼い主さんは次のように感じたようです。
「ゆずと初めての散歩のとき、私もゆずもすごく歩きにくくて。もしかしたら、リードをつけて人と一緒に歩くという行為が初めてなんじゃないかと感じました。
それに、お座りや待てもできませんでした。ゆずは、一般家庭で飼われていたコじゃないのかも、そんな気がしたんです」
日課のお散歩は、飼い主さんにとっても幸せな時間
飼い主さんのおうちにやってきて、ゆずちゃんは1日3回の散歩が日課になったよう。
「ゆずにはあまり関係ないかもしれませんが、四つ葉のクローバーを探しながらとか、自然を満喫しながら楽しい散歩の時間を過ごしています。
今年はまだ2つですが、昨年はたくさん見つけることができましたね」
「夕方の散歩から帰ってきたら、家のベランダでもう一走り! 走り終えると、ベンチに座っている私の隣にちょこんと座って『ナデて!』を強要してきます(笑)
暮れゆく空を見ながら、ゆずをナデナデしている時間はたまらなく幸せです」
甘えん坊でやんちゃなゆずちゃん。部屋で一緒に遊ぶときは、「これでもか!」というくらいゆずちゃんは飼い主さんの顔や手足をペロペロと舐めるのだそう。
そんなときなどに、飼い主さんはゆずちゃんの愛を感じるとも話してくれました。
ゆずちゃんは、飼い主さんご家族にとってかけがえのない存在に
飼い主さんご夫婦はもちろん、ご両親、離れて暮らしている娘さんもゆずちゃんのことが大好き! ゆずちゃんは大切な家族の一員、かけがえのない存在だと飼い主さんは話します。
「父は脳梗塞を患い、足に多少麻痺が残ってしまいふさぎ気味でした。でも、ゆずがうちに来てからはずいぶんと明るくなり、歩行器を使ってのリハビリを積極的にするようになりました」
「今では、リハビリから帰ってきて、ゆずにおやつをあげるのが日課に。
おやつをあげるときに待てをさせると、キラキラした目で父の目を見つめます。ゆずのその顔を見ているのがたまらないようで、父の顔もニコニコするんです」
飼い主さんご家族全員が、ゆずちゃんと暮らす日々を尊いと感じているようです。
ずーっと一緒にいるって約束するよ
ゆずちゃんと一緒に暮らす中で、たくさんの幸せを感じている飼い主さん。最後にゆずちゃんに伝えたいことを聞いてみると、次のように話してくれました。
「特別なことはできないし、平凡な日々と思うかもしれないけど、ずーっと一緒にいるって約束するよ。ゆずにとって二度目のスタートが、パパとママのところでよかったって思ってもらえるように。
そしてパパとママはこう思っているよ。うちのコになってくれてありがとう」
「最後に、ゆずとの出会いを作ってくれたゆめまるHappy隊のみなさんと、ボランティアで保護犬のトリミングやシャンプーをしていて、ゆずもお世話になっているドッグケア暉暉さんに、感謝したいと思います」
飼い主さんと出会う前、ゆずちゃんはどのように過ごしてきたのかはわかりません。しかしゆずちゃんは今、安心できる居場所を見つけて幸せな日々を過ごしています。
参照/Instagram(
@akihiko_38)
取材・文/雨宮カイ