犬は大切な人、大好きな人のことをしっかりと覚えていてくれますよね。今回紹介するのは、Twitterユーザー
@51316Mikaさんの愛犬・はるくん(♂/取材当時6才/柴犬)。大好きな人を待ち続けるはるくんの姿に、多くの反響が寄せられていました。
こちらは、2022年1月に投稿されていた写真。雪が降る中、はるくんはお座りをして何かを待ち続けています。
実はこの場所は、はるくんが大好きだという近所のおじさんの家の前。おじさんは一昨年に亡くなってしまったそうですが、はるくんはお散歩でおじさんの家の前を通ると、今も必ず玄関前まで行っておじさんのことを待っているのだそうです。
この日、はるくんはお座りしてから10分ほど玄関のほうをじっと見つめていたそう。その場から動こうとしないはるくんの姿を見たとき、飼い主さんは「亡くなったおじさんとはるが何か話をしているかもしれない」と、そっとしておいてあげたといいます。
「このコにしかわからない何かがあるかもしれない」と、はるくんの気持ちに寄り添ってあげたのでした。
おじさんとの出会いは、はるくんが2才頃のこと
飼い主さんによると、おじさんとの出会いは、はるくんが2才頃のことだったそうです。ある日の散歩でおじさんの家の前を通ったときに、「うちにもワンコがいるけど、もう年で家から出られない。お前は元気でいいなぁ」と、初めて声をかけられたのだとか。
この日をきっかけに、おじさんの家の前を通りかかると、おじさんと顔を合わせることが多くなったといいます。
飼い主さん:
「ある日、おじさんが『飼い犬が亡くなった』と話されていて、はるをなでながら泣きそうになっていました。そのときに、はるは動かずにじっ…とおじさんの顔を見ていて、その姿が今でも印象に残っています」
はるくんの性格は好き嫌いがハッキリしているタイプのようで、散歩中に立ち話をしていると、相手によってはすぐに帰ろうとすることもあるのだそう。しかし、おじさんの場合は長話になってしまっても横で伏せて、静かに待っているのだそうです。
飼い主さんとおじさんとは「散歩をしているときに会えば話す」というほどの関係性だったけれど、はるくんは優しくて犬好きなおじさんのことが大好きだったようです。
「楽しそうに触れ合うはるとおじさんの姿をまた見たいな」と思うことも
遠くにいるはるくんと飼い主さんの姿を見つけたら、手を振って道路に出てきて待っているおじさんの姿。おじさんのもとに駆け寄って、嬉しそうに飛びつくはるくんの姿。「お前はいつも元気だな。お前は賢いコだ」と言って、はるくんの頭をなでながら優しく微笑むおじさんの姿——飼い主さんは、こうしたふたりのやりとりが今でも忘れられないのだそう。
おじさんの家の前を通る度に、飼い主さんはこんなことを思うといいます。
飼い主さん:
「世の中には知らないほうがいいこともあるのかもしれない——この家の前を通る度に、そんなことを思ってしまいます。もう叶いませんが、楽しそうに触れ合うはるとおじさんの姿をまた見たいなと、思ってしまうんですよね」
人が大好きで、みんなに愛されているはるくん
大好きなおじさんを待つ健気な姿が話題になったはるくん。ふだんのはるくんはどのようなコなのか、飼い主さんに「素顔」を聞きました。
飼い主さん:
「はるは人が大好きです。特にお年寄りの方が好きですね。話す声のトーンが心地いいのかもしれません。この町で、たくさんの方が『はるちゃん』って呼んでくれて、可愛がってくれています。
なかには、『いつ来てもいいように』と、はるのためにオヤツを用意してくれている方もいます。はるに話し相手になってもらいたいと思っている方もいるようで、『セラピー犬になってほしい』と言われたこともありますね」
おっとりマイペースな性格で、みんなから愛されているはるくん。実は、とにかく雪が大好きなワンコなのだそう。「帰ろうよ」と促さない限りいつまでも雪の上にいて、雪を堪能しているようです。
飼い主さんご夫婦が「雪解けの季節はかわいそうだな」と胸が痛くなってしまうほど、はるくんは雪が大好きなのだとか。
はるくんとたくさんの時間を共有している飼い主さんは、出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいだと話します。毎日のように、はるくんに対して「ありがとう」を伝えるようにしているのだそうです。
大好きな人たちとの関わりを大切に生きているはるくんは、これからもたくさんの人に癒しを与えてくれることでしょう。
写真提供・取材協力/Twitter(
@51316Mikaさん)
※この記事は投稿者さまにご了承をいただいたうえで制作しています。
取材・文/雨宮カイ