「繁殖犬としてだけ生きてきて、外の世界を知らないまま役目を果たし、一生を終えてしまう犬たちがいる現実を知りました。伶音は保護されて、幸せの第一歩を踏み出すことができたんです」
こう話すのは、元繁殖犬・伶音(れおん)ちゃん(ミニチュア・ダックスフンド/7才・♂)の飼い主さん。
とあるブリーダーから保護された伶音ちゃんは、「保護犬カフェ」にいたときに今の飼い主さんと出会うことができました。
先代犬が繋いでくれた伶音ちゃんとの出会い
伶音ちゃんと出会う前、飼い主さんのおうちにはミニチュア・ダックスフンドのクッキーちゃんがいました。
クッキーちゃんが亡くなり、つらく悲しい毎日を過ごしていたときに、飼い主さんは保護犬カフェのInstagramで伶音ちゃんの写真を目にします。
「クッキーを亡くしてから、保護犬のことを調べるようになったんです」と飼い主さん。
写真を見て伶音ちゃんにすぐに会いに行きたかったけれど、ご主人が単身赴任中ということもあり、なかなか話が進まなかったのだそう。
「お空にいるクッキーが、伶音と私を繋いでくれたのだと思います。もし、赤い糸で繋がっているのなら、ママがお迎えに行ける日まで待っていてね! と毎日を祈りながら過ごしていました」
そんなある日のこと。急遽ご主人が単身赴任から帰ってくることになるのです。
そして、保護犬カフェの写真を見てから3カ月後、伶音ちゃんをおうちに迎え入れることに決めたのでした。
自然と「れおん」というイメージが湧いてきた!
繁殖犬時代、名前がなかった伶音ちゃん。保護犬カフェでは「スカイ」という名前で呼ばれていたそう。
「初めて会った帰り道、抱っこしたときの感触やかわいいお顔などが忘れられずにいたときに、自然と『れおん!』というイメージが湧いてきたんですよね」
そして、「健康に恵まれ、順調な犬生を送れますように」「これからの毎日が楽しいことだけを見たり、楽しい音だけを感じられますように」との願いを込めて、飼い主さんは『伶音』という漢字を選んだのでした。
伶音ちゃんの幸せが、飼い主さんの幸せに
伶音ちゃんはおうちに来た当初、お散歩中に人やほかの犬に会うと固まって動けなくなったり、物音に怯えてしまったり。
おもちゃにも興味を示さず、音が鳴るおもちゃにはびっくりして逃げてしまうこともありました。
でも今は、人に対してはそれほど抵抗がなくなったようで、撫でてもらうのが大好きに!
飼い主さんが寛いでいると近くに寄って来て、ゴロンとお腹を見せて「撫でて~撫でて~」と甘えてくるそう♪
「伶音が安心してスヤスヤ寝ている姿、そして『れお~ん』と名前を呼ぶと振り向いてくれたり、ダダダーとしっぽを振りながら駆け寄って来てくれたときに幸せを感じます。
伶音が幸せと感じていてくれることすべてが、私の幸せです」
伶音ちゃんに二度とつらい思いはさせたくない
伶音ちゃんは保護される前の飼育環境のせいか、重度の歯周病を抱えていました。そのせいで、食欲不振になったり、おもちゃを口にくわえて遊ぶことができないこともあったそう。
しばらくしてから、手術の立ち会いができる歯科専門の病院で、伶音ちゃんは治療を受けることになります。
すると、伶音ちゃんは手術後、食欲旺盛でとっても活発に!
「手術を見守りながら、『伶音ともっと早く出会っていれば…』と悔しい気持ちで涙が出ました。伶音には二度とつらい思いはさせたくありません」
「残された伶音の歯をしっかり守り、伶音がいつも笑顔でいられるように、これからも一緒に過ごせる時間を大切にして、たくさんの愛情を注いでいきたいです」
伶音ちゃんが今まで知らなかった世界を、たくさん見せてあげたい
伶音ちゃんがおうちに来て、一緒に出かける楽しみができたと話す飼い主さん。
「伶音が今まで知らなかった世界、海、山、湖、雪、お花見などの美しい自然を一緒に楽しんでいます」
週末になると、伶音ちゃんと一緒に遊びに行ける場所を調べては、お出かけしているそうです。
伶音ちゃんと出会い、たくさんの幸せを感じている飼い主さん。最後に、伶音ちゃんに伝えたいことを聞いてみると、次のように話してくれました。
「うちの子になってくれてありがとう。たくさんの幸せを持ってきてくれてありがとう。
これからもママたちと一緒に、楽しいこといっぱいの毎日を過ごそうね。伶音ちゃん、大好きだよ!」
これまでできなかったことをたくさん経験しながら、伶音ちゃんは今、飼い主さんとともに幸せな日々を過ごしています。
参照/Instagram(
@cooky_reon)
取材・文/雨宮カイ