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Vol.10 アンチエイジング、住まう環境は?「 愛犬のすこやかアンチエイジング」

Vol.10 アンチエイジング、住まう環境は?

愛犬センパイといっしょに取り組むアンチエイジング。住環境を整えることで対策できることもありそう。そこで今回は「住」について幅広く考えてみることにしました。

犬にとっても大切な住環境のこと

愛犬のすこやかアンチエイジング、この連載も気がつけば10回目となりました。これまでにもいろいろな方から感想をいただき、犬と暮らす方々にとって、愛犬のアンチエイジングに対する関心の高さを改めて実感しました。ご自身の体験談を話してくださる方も多く、私にとっても勉強になることばかりで本当にうれしいです。
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寄せていただいた中で多かったのが「愛犬の足腰のケアをしている」という感想でした。我が家の愛犬・センパイ(8才になった柴犬のメス)は今のところ足腰のトラブルはなく、特別に気にしたことはありません。しかし、10才を過ぎたミニチュア・ダックスフンドやゴールデン・レトリーバーなどは足腰を傷めやすいことが多いよう。犬も人と一緒で先天性のものもありますが、住環境によって症状が左右されることもあるようです。そこで今回は「住」について幅広く考えてみることにしました。

「自分の犬を飼う」というのが子どものころからの夢だった私は、10年前に「犬に優しい環境に住みたい」と考え引っ越しをしました。それが現在の住まいです。「古いマンションをリノベーションして住まう」と決めたのも犬と暮らすことが前提。こだわったのが壁と床でした。犬を迎えたとき、犬がいたずらして壁を掘ったり、誤って食べてしまったときに害が少ないものを。犬が走ってもツルツル滑ったりせず、足腰にやさしい床を……。
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自宅でくつろぐセンパイと愛猫コウハイ(写真手前)。コウハイはサマーカットをしたので不思議な毛の質感です

お世話になった建築家の先生と相談し、壁は漆喰に近いが素人でも塗りやすい自然素材のクリーム(自分たちで塗りました!)、床はロシアのから松を組み立てて作るのがメインで、ほかのスペースはコルクを貼ることに。専門家からすると少々時代遅れで「もっと効率がよくて便利な素材がありますよ」とも言われましたが、予算の少ない私たちにとっては、それが最善のことでした。

引っ越しから2年経ちセンパイを迎えることになりましたが、床には日々傷が増えていきました。最初はドキドキもしましたが「そう気にしていては大らかな犬に育たない」と考えをあらためて……(その後、床の傷は愛猫コウハイの同居によってさらに増えていきます)。
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床についた傷も、少しずつ増えていきました

年齢とともに、環境を変えていく工夫

2年ほど前にセンパイが健康診断を受けたときに「食道が細い」ということがわかり、フードを食べやすくするために犬用のテーブルを導入しました。センパイは食べている途中にむせることがたびたびあって「急いで食べるから?」と思っていたのですが、食道の細さも原因のひとつだということが判明。テーブルで食べるようになってから、かがむ姿勢に無理がなくなったのか、フードの逆流もなくなりました。

「犬の心身の変化によって住環境も変えていく」ということを、認識したのがこのときです。
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テーブルを導入して食べやすい工夫をしました
それから「いつか来る老いたセンパイとの暮らし」のことを頭の隅に留めて、犬グッズのお店などで見かけて「これは必要になるかも……」と思ったものを覚えておくようになりました。
そのひとつめがソファやベッドに掛ける犬用ステップです。若い犬たちは「ジャンプは得意だよ!」とばかりに1日に何度も飛び上がったり飛び降りたりしますが、フローリングへの着地は脚や腰の負担になります。
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D+Mさんの階段ステップソファ。こういったステップは将来への備えです

13才のミニチュア・ダックスフンドと暮らしている知人から「愛犬がある日突然、ソファに登れなくなってショックだった」と聞きました。飼い主としてはそのショックを顔に出さないように努めたそうですが、犬自身も「あれ、こんなはずじゃなかったんだけど……」と、なんともいえない泣き笑いの表情をしたとか。

「もし、もっと前からステップを置くようにしていたら、愛犬に悲しい思いをさせなくても済んだかもしれない。でも、過保護になりすぎてもよくないし……」と飼い主の心境は複雑です。犬と暮らすのは子育て同様、正解が見えにくいもの。しかし現実を受け止めて、的確に対処することがアンチエイジングにつながるのだと思います。
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以前ペットケアサービスLet’sさんで習った足腰強化レッスンの模様。
こういったセンパイ自身の鍛錬だけではなく、住環境と両面でサポートしてあげたいと思います

ふたつめがサークル。個体差もあると思いますが、老犬になると寂しがり屋になるといいます。読者の方からも「若いころはマイペースな性格だったのに、加齢とともに、家の人が出かけるのを後追いしたりして、一頭だけでいるのを嫌がるようになった」という声がありました。

なので、センパイが老犬になったら、リビングなど人の声や気配がする場所に居場所を作ってやりたいと考えています。目も見えにくくなってしまうかもしれないから、歩いてモノにぶつかったりしないようサークルで囲み、その中にベッドを置いてセンパイに「ここにいれば安心だわ〜ん」と思ってもらえるようにしたい。その延長として考えられるのは「引っ越しや家具の配置換えは老犬を不安にさせる」かもしれないということ。事情が許さない場合もありますが、できれば老犬介護をしているときは引っ越しや部屋の模様替えを控えたほうがよいかもしれません。
玄関や縁側、階段など落ちてしまう可能性があるところにゲートを取り付けることも必須だと考えています。
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それから、私が気にしているのはニオイです。これは老若問わずのことですが、加齢とともに異臭を放つあれこれが増えてくるように想像します。お客さまを迎えるときなど、玄関のドアを開けたとたんに動物臭がしてしまうとしたら何とも残念な話です。住人はニオイに慣れてしまうというかマヒしてしまうというか……。なので自分のジャッジを厳しくしておきたい。窓を開けたり空気清浄材を使って風通しをよく保つことが必要ですね。ほかに、消臭剤を使ったり炭を置いたり工夫をすること。好きな香りのアロマなどで香りの演出もいいですね。

前回と今回は我が家とセンパイを取り巻く食事と住まいの環境についてご紹介しました。次回は、高円寺アニマルクリニックの高崎先生に食事や住まいについてお聞きします。

次回予告
高円寺アニマルクリニックの高崎先生からシニア犬の食事についてお聞きします
取材•文:いしぐろゆきこ

プロフィール
いしぐろゆきこ:愛犬誌や女性誌、WEBなどで日々の暮らし、犬猫に関するエッセイやモノのリコメンドを執筆。近著に『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』(幻冬舎)。
http://www.blueorange.co.jp/yuruyuru/
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