日々の暮らしのなかで、愛犬からの「やさしさ」を感じている飼い主さんは多いはず。
今回は、犬が人にやさしい理由について、獣医師の増田宏司先生に伺いました。
3万年以上も前から人と暮らしてきたから
犬と人の関係の起源は諸説ありますが、一説によると、約3万年前には生活をともにするなどの深い関係ができていたといわれています。その長い歴史のなかで犬は人を理解し、寄り添ってくれるようになりました。
ささいなふれあいでよろこび、人が涙すれば寄り添う。犬が人に与えてくれる「やさしさ」は、まさに愛そのものといえるでしょう。
人のマネをしているから
2023年にハンガリーの大学で発表された研究によると、犬はおやつがもらえるなどのメリットがなくとも人の行動を観察し、模倣するということがわかりました。
これは猫とオオカミでは見られない行動で、犬のやさしさは人の行動をマネして学んでいったものといえるのかもしれません。
体の中の“リズム”も同調しているから
2024年にフィンランドの大学で発表された研究によると、飼い主さんがリラックスしているときは犬もリラックスしているなど、心拍数の変動が同調していることがわかりました。
また、同年に中国で発表された研究では、脳波も同調していることがわかっており、犬と人の絆の強さが明らかになっています。
人に対する観察力と共感力がすぐれているから
2012年にイギリスで行われた研究によると、犬は悲しんでいる人を見かけると、自分が夢中になっていることを中断してでも寄り添い、なぐさめる行動をとることがわかりました。しかも、飼い主さんではない見知らぬ人が相手でも、同様の行動をとったのだそうです。
いかに犬が人の行動を観察し、感情に同調してくれるかが伝わってきますね。
人とのふれあいが大好きだから
ヴァージニア工科大学で行われた実験によると、犬に「人とのふれあい」と「食べ物」のどちらかを選ばせたところ、多くの犬が「人とのふれあい」を優先させました。この結果から、犬は食べ物を得ることより人とのふれあいを優先するほど、人を愛してくれていることがわかります。
犬が人に特別やさしい理由をご紹介しました。私たちも愛犬と心地よい関係を築いていきたいですね。
お話を伺った先生/増田宏司先生(獣医師 博士(獣医学) 東京農業大学農学部動物科学(動物行動学研究室)教授)
参考/「いぬのきもち」2025年11月号『11月1日は犬の日!特別企画 人だけじゃなく、すべての存在を愛してくれる――犬ってやさしい!』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。