犬も膀胱炎にかかることがあるので、その特徴などについて知っておくと健康管理に役立つでしょう。そこで今回は、犬の膀胱炎の原因や症状、注意したい犬の特徴などについて、獣医師の宮川優一先生に詳しく解説していただきました。
犬の膀胱炎ってどんな病気?
犬の膀胱炎のほとんどは、外陰部から侵入してきた細菌によって引き起こされます。外陰部から侵入してきた細菌は、尿道を通って膀胱内で増殖して炎症を起こし、後述するさまざまな症状を引き起こします。
単純な細菌による膀胱炎なら、治療を行えばすぐに治りますが、再発を繰り返す難治性膀胱炎も。この場合、根本的な原因を探る必要があるでしょう。
なお、膀胱炎を放っておくと細菌が腎臓にまで達して、腎盂腎炎(じんうじんえん)を引き起こすこともあります。
犬の膀胱炎の3つの症状
犬が膀胱炎になると、主に以下のような症状があらわれます。
(1)排尿時にキャンと鳴く
オシッコの姿勢をとり、ちょっとオシッコをしてキャンと鳴き声を上げる場合は、排尿時に痛みを感じていると考えられます(膀胱痛)。下記で解説する、頻尿の症状が出ているケースも多いでしょう。
(2)少量のオシッコを1日に何回もする(頻尿)
頻尿は膀胱痛からくる症状のひとつ。膀胱痛は排尿時に起こるため、オシッコを途中で止めて、痛みをやり過ごすようになります。痛みを感じたらオシッコを止めてしまうため、少量のオシッコを1日に何回もする頻尿状態に。1日に20~30回オシッコをするケースもあるでしょう。
(3)オシッコに血が混じる
膀胱の粘膜が炎症を起こして出血し、オシッコに血が混じることがあります。膀胱内の出血の程度により、オシッコが薄く色づく(ピンク色)程度だったり、オシッコに血の塊が混じったりすることも。
こんな症状にも注意して
そのほか、以下のような症状があらわれることもあります。
■オシッコをポタポタ垂らしながら歩く(失禁)
オシッコをコントロールする力が低下し、意図せずもれてしまうことがあります。
■ウロウロして落ち着かない
膀胱痛などからオシッコを出し切れない状態になり、常に尿意を感じてウロウロすることも。
■オシッコのニオイがいつもと違う
膀胱内の細菌や炎症の影響で、オシッコのニオイがきつくなるなどの変化がみられることもあります。
こんな犬は膀胱炎に要注意!
膀胱炎はどの犬にもリスクのある病気ですが、とく気をつけたい犬もいます。
メスは要注意
「メスの20~25%は一生のうち1回は膀胱炎にかかる」といわれるほど、膀胱炎はメスに多い病気とされています。
これは、尿道口につながる外陰部と肛門が近く細菌に侵されやすいことや、オスに比べて尿道が太く短いため細菌に侵入されやすいことなど、メスの体の構造が関わっていると考えられています。
ただし、メスに比べてオスの発症数が少ないだけであり、オスが膀胱炎にかからないわけではありません。
結石ができやすい犬も注意が必要
オシッコに含まれるミネラル分などが結合し、石のように固まったものが結石です。結石が膀胱にあると、粘膜を傷つけたり、オシッコを出し切れずに残尿したりすることから、膀胱炎の一因になりうるため、次のような結石ができやすい犬(一例)は注意しましょう。
■ストルバイト結石
膀胱炎との関連性が高い結石。細菌性膀胱炎になりやすく、中年齢以降のメスにできやすいとされています。
■シュウ酸カルシウム結石
ミニチュア・シュナウザーなどにできやすいとされる結石。
■尿酸アンモニウム結石
ダルメシアン、ブルドッグ、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリアなどにできやすいとされている結石。
愛犬を膀胱炎から守ってあげるためにも、正しい知識を身につけておくことが大切です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/宮川優一先生(日本獣医生命科学大学准教授 獣医師 博士(獣医学))
参考/「いぬのきもち」2025年2月号『冬にかかりやすく、痛くてつら~い……犬の膀胱炎』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。