犬が震える原因はさまざま。生理的なものであればさほど問題はないものの、病気や痛みが原因で震えていることも。
今回は、病的な震えの見きわめ方や「けいれん発作」との違いについて、獣医師の野矢雅彦先生に教えていただきました。
犬の震えの原因はさまざま
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愛犬が寒い日に震えたり、動物病院の診察室で震え続けていたりする姿を見たことはありませんか?
こうした寒さや恐怖が原因での震え(生理的な震え)は、体の正常反応なので問題ないことが多いのですが、病的な要因で震えているケースは注意が必要です。痛みや病気の症状のひとつとして震え(病的な震え)が見られることがあります。
病的な震えの見きわめ方
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愛犬が急に震え出したら不安なりますよね。受診すべきか迷わないためにも、見きわめ方を知っておきましょう。
様子を見てもいい震え
基本的に、生理的な震えは様子を見ていてOKです。たとえば明け方の寒さで震えたり、動物病院が嫌で震えたりと理由がはっきりしていて、その震えが一時的な場合は様子を見てもいいでしょう。
ただし、部屋が暖かくなっても震えが止まらない、いやなことのたびに震え方が激しくなってきた、怖いことが終わったのに震え続けている、震える回数が増えたなど、いつもと様子が違うときは受診をおすすめします。
受診するレベルの震え
病的な原因で震えている場合、すぐに受診したほうがいいケースも。たとえば、1時間以上震えが続いている場合や、震え以外の症状が見られる場合は迷わず受診しましょう。
1時間以上震えが続いている
愛犬に見られる症状が震えだけだった場合、1位時間以上続いているときは体に変化があると考えていいでしょう。
震え以外の症状が見られる
下痢や嘔吐があれば、消化器系の臓器に痛みを伴う異変が起きたのかもしれません。歯肉が白っぽいなら貧血による体の冷えのおそれも。震え以外に症状があれば、痛みや病気の可能性が高いといえます。
■こんな症状に要注意
嘔吐、下痢、発熱、元気がない、動きたがらない、食欲がない、体を触ると起こる、歯肉が真っ白 など
意識がないのは「けいれん発作」
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なお、けいれん発作では意識がまったくないことも多く、意識はあっても、ぼーっとしていて目の焦点が合わないケースもあります。一方で、震えは原因にかかわらず意識がなくなることはありません。初めてけいれん発作が見られた場合は、獣医師に指示を仰いでください。
けいれん発作には、全身の筋肉を硬直させて体全体を震わせる「全般性発作」と、体の一部分が震え、ぼーっとした様子でふらつくなどの症状が出る「焦点性発作」の2種類があります。焦点性発作は意識があるため、震えと紛らわしいので注意が必要です。
震えに気づいたら記録に残して
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動物病院に連れて行っても診察時に震えの症状が出ないことも多いため、動画やメモをとっておくと診察に役立ちます。
動画を撮る
実際に震えている様子を獣医師が確認できる動画は、診断にとても有効です。横からや上から、お尻側からなど、全身をさまざまな角度から撮りましょう。震えが体全体なのか、部分的なのかを判断する材料になります。全身の動画とは別に顔のアップの動画を撮っておくと、意識がはっきりしているかどうかを見るのに役立ちます。
メモをとる
震えが起きたときの状況を記録しておくと、原因を突き止めるのに役立ちます。
・震えが起きた日時
・継続時間
・その日の天気や気温
・ゴハンやおやつを食べた時刻
・食欲の有無
・排便や尿の回数
・その日のイベント(お出かけや来客など)
前日の出来事が影響している可能性もあるため、前日にいつもと違うことをした場合はそのことを書いておくとよいでしょう。
震えがきっかけで病気を発見できるケースもあるので、愛犬の様子をしっかりと観察しましょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2025年4月号『寒い、怖いだけじゃない!隠れた病気のサインを見きわめよう 犬のふるえ』
文/柏田ゆき
※記事と写真に関連性がない場合もあります。