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犬に対する素朴な疑問【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

普段の暮らしでは気にならないが、改めて考えると犬に対して疑問に感じることがある。思わず犬に「なんで?」と聞きたくなるが、話してくれるわけもなく、もやもやする。同じように感じている飼い主も多いのではないだろうか。

その行動の理由が知りたい

例えば大吉は、出かけるときにいち早く察知する。一緒に行くなんて言っていないのに、勝手にワクワクした顔になる。支度をするときは、なるべく悟られないよう直前まで何もしないし、自然に振る舞うようにしているのに。
なぜ気づかれたくないかというと、「行く?行くよね?まだ?」という仕草でうるさく催促してくるからだ。これについては、犬は人間を細かく観察していて、表情や動き、声のトーンなどから総合的に判断しているという説がある。
仮にそうだとしよう。ではなぜ、私がひとりで出かけるときと、大福と一緒に出かけるときを嗅ぎ分けられるのか。服装が違うわけではないし、持ち物だって変わらないはずなのに。でも大吉は、私が用事で出かけるときは反応せず、さっさと3階の寝室に消えてしまったりする。
服装や持ち物が変わらないといっても、多少は違うかもしれない。確かに一眼レフカメラをバッグに入れたり、食材を入れたクーラボックスを持つと、明確に反応する。しかしそれは確信に変わるというだけで、その前から感じ取っているふしが見られる。

大吉へのさらなる疑問

さらにいえば、大吉は曜日をある程度把握しており、山の家に行くときはいつも金曜の夜に出発することが多いから、そのタイミングで反応しているかもしれない。とはいえ、毎週金曜に行っているわけではないし、山以外のお出かけでも同じだからよく分からない。
人間の様子や曜日の感覚なのかは知らないが、パターンを読んで「学習」し、出かける空気をいち早く感じ取れるようになったのだろう。その点については、すごい能力だと思う。
ただ、疑問は残る。大吉は雷や花火の音に怯えて、いつもブルブル震える。それだけ学習能力が高いのであれば、何度も経験して直接的な害はないということを、なぜ「学習」しないのか。
さらに、出かけるときには大吉の期待を感じ取り一歩遅れて喜ぶ福助は、なぜ雷や花火への怯えの感情は伝染せず、平然としていられるのか。そのあたりのスイッチのオンオフはどうなっているのか。謎は深まるばかりだ。たぶんそれが個性なんだろうけど。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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