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雑草との闘いの日々【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

このところ毎日、山の家に作ったドッグランの雑草抜きをしている。これまで毎年、初夏になると草刈機で刈りまくっていたが、翌年にはまた生えてくる。中でもタンポポとクマザサはどんどん増えていく。

生えるから抜く奮闘の日々

ちなみに草刈機には、丸い鉄製の刃のチップソーと、ナイロンのひもがびゅんびゅん回るナイロンカッターがある。普通の土ならチップソーでいいが、石が多かったりコンクリートが近いと危ないのでナイロンカッターを使い分ける。以前はその都度刃を付け替えていたのだが、毎回面倒なので、草刈機をもう1台買って常にどちらでも使えるようにしている。まさか50歳をすぎて草刈機を2台持つとは思わなかった。
話は戻って、タンポポとクマザサは草刈機で刈ってもむだだ。なぜなら根は残っており、いくらでも再生するからだ。地元の人に「根から抜かないとだめだよ」と教えてもらってやっと分かった。これまで5年間も何をやっていたのか。
タンポポは単体だからまだいいが、クマザサは手強い。というのは、地上であちこちに出ているクマザサは実は地中で繋がっており、すぐに下には直径2〜3ミリの根があり、さらにその下にはゴボウくらいの根に繋がっており、まさに毛細血管のように何重にもネットワークを張り巡らせている。
これをこつこつと抜いていくのはかなりの重労働で、両腕は筋肉痛になるし、立ったりしゃがんだりで腰にくる。そんなこと1日やってられないし、ほかにもやらなければいけないことはある。だから毎朝1時間と決めて、連日クマザサの根と格闘している。1時間くらいだと、3平米くらいしかできない。本当にそれくらい密接に繋がっているのだ。

あきらめたらそこで終わり

ただ、ここであきらめたらどんどん侵食される。誰かがやってくれるわけでもないから自分でやるしかない。3平米ずつやって何日かかるのか。それに1回やれば終わりではないだろう。きっと3年くらいこれをやって、ようやくクマザサもあきらめてくれるかどうか。
最近は、草刈りをするとき用の作業着も買った。これはオーバーオールのようになっていて、前は防水になっているが、後ろはメッシュになっているから蒸れない。まさか50歳を超えてこんなものを……以下略。
そんなわけで、最近はずっと根を抜いている。いつ終わるか分からないクマザサとの闘いを、ひとり黙々とやっている。
大吉と福助が自由に走り回れる快適なドッグランを維持するために。彼らはいつも横で遊んでいて、感謝している様子はまったくないが、別にいいんだ。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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