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また犬と暮らしはじめた 大吉を迎えて【穴澤賢の犬のはなし】

また犬と暮らしはじめた Vol.2 大吉を迎えて

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子どもの頃から家にはいつも犬がいた。でも世話はほとんど親にまかせっきりだったし、犬を飼うのはどういうことか、まるでわかっていなかった。大人になってから「富士丸」という犬と暮らしてみて、はじめてそう実感した。しかも富士丸は大型犬だったから破壊力もハンパなく、幼い頃にはずいぶん手を焼いた。
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だから大吉を引き取った後については、それなりの覚悟をしていた。同時に、「こっちはかつて大型犬と暮らしてたんだから、甘くみるんじゃねーぞ」という自信もあった。ところが予想に反して、大吉はあまり手がかからない仔犬だった。思い通りにならないときに吠えたり、ちょっと家を空けた隙にトイレシートをビリビリに破ったりすることはあったが、家具や家電製品には手を出さない。
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間違ってコンセントやコードを噛んだらまずいと思って、犬の嫌がる臭いしつけ用のスプレーを買ってきて危ないところに吹きかけておいたら、そのスプレーの入った容器自体を破壊していたのにはびっくりしたが、コンセントは無傷だった。ケージに閉じこめると、ここから出せとばかりにキャンキャン吠えていたのも、無視していたら治まった。
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もちろん仔犬特有のやんちゃさはある。遊んで遊んで攻撃もすごい。でもなんだろう、拍子抜けするというか、「その程度か」という感じだった。散歩中もほとんど引っ張らない。一番驚いたのは、生後わずか5ヵ月の時点で留守番ができるようになったことだった。それまではちょっと出かけるときにはケージに閉じこめていたが、必ずトイレシートを粉砕しているので、よっぽどケージが不服なんだろうと試しに自由にさせてやったら、大人しく留守番していたのだ。それ以降、留守の間にティッシュを全部引っ張り出していたことはたまにあったが、そんなのは仔犬なんだからまぁしょうがない(注意はするけれけど)。
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そうなると、ある疑問がわいてくる。富士丸は、留守番中に閉めていた玄関のゲートがいらなくなったのは、3歳すぎてから。それまではいくら注意しても帰ったらトイレシートがビリビリに破られていた。散歩中、犬ぞりレベルでリードを引っ張らなくなったのもその頃だった。大型犬は大人になるのが遅いというが、それにしても3歳半はちょっとかかりすぎではないか。もしかしたら、富士丸は馬鹿犬だったのだろうか。
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たぶん違う。富士丸がまだ幼かった頃は留守番の時間も長かったし、大型犬だから普通の散歩では運動量が全然足りなかったのだろう。夜勤のバイトで家に帰るとひどく疲れていたから、あまりかまってやれないことも多かった。その上、休みの日には外に飲みに行ったりもしていた。今思えば、ひどい飼い主だった。寂しかっただろうし、力も有り余っていたんだろう。富士丸と暮らしていく中で、多くのことを気付かされた。幼い頃にしてやれなかったことはたくさんある。
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そう考えると、大吉は恵まれているなぁと思う。今は家で仕事しているから留守番は格段に少ないし、ごはんも手作りだし。でも、恵まれているかどうかなんて大吉は知らなくていい。それが富士丸と暮らした経験からであることも。そもそも引き取ると決めたんだから、できる限り幸せにしてやらなくては。幸せにしてやる、というのもちょっと違うか。こっちも幸せなんだから。
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おまけ動画:仔犬 大吉その2

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