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改めて思う犬という存在【穴澤賢の犬のはなし】

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改めて思う犬という存在

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最近読んだある本で、犬という動物が、人間にとっていかに特別な存在で、動物の中でも不思議な種であることに、改めて気付かされた。今回はそんな話でも。

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最近、ノンフィクション作家の片野ゆかさんが書かれた『動物翻訳家』という本を読んだ。内容は、動物園で「環境エンリッチメント」に取り組む職員さんと動物の話。環境エンリッチメントとは、動物の飼育環境を充実させて、動物たちの精神的、身体的な健康を向上させる取り組みで、10年ほど前からムーブメントになっている。

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有名なところでは「旭山動物園」で、昔のように檻の中にただ動物がいるのではなく、その動物の本来の行動や好みに合わせた飼育環境を整えることで、それまでになかったイキイキとした表情やダイナミックな行動が見られるようになるというもの。とはいっても、相手は動物。思ったとおりにはいかない。そこで、どうすれば限られた予算とスペースの中で、彼らが少しでも幸福な暮らしができるかを、職員さんたちは日々試行錯誤している。

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本では、ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、キリンにまつわるエピソードが載っている。たとえば、ペンギンはプールとその周辺をうろちょろしているだけでなく、自然の中では険しい丘と海を行き来していることを参考に、実際に丘をつくってみたりする。しかし、動物園で育ったペンギンはわざわざ丘を登ろうなんて思わない。しかし、努力と試行錯誤を続けていると……というような話だ。動物園そのものの存在意義などの話もあるが、読み終わるころには、その動物園の、その動物に会いに行きたくなる。

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その中で、興味深かったのはチンパンジーの生態だ。チンパンジーといえば、賢く、フレンドリーで、人と仲よくしている姿を思い描くかもしれないが、あればすべて子どものチンパンジーであり、大人のチンパンジーと人間がそんなふうに触れ合うことはできない。なぜなら、チンパンジーは5〜6才になると腕力が強くなると同時に独立心が芽生え、人間が制御することが難しくなるといわれているからだ。本来チンパンジーは凶暴な動物ではないが、万が一に備えて動物園は大人のチンパンジーと飼育員が直接触れ合うことはほとんどないという。

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チンパンジーのそうした生態について、前から知ってはいたのだが、改めて本で読んでみると、人間が檻を挟まず「直接飼育」できる動物は、ごく限られていることに驚かされた。それを実感したのが、エピローグに出てくる職員さんの「犬はいいです。ほろ酔いになろうが、そのまま眠ってしまおうが、まったく身の危険を感じないんですから。同じ部屋にいて、あれほどリラックスできる動物はほかにいませんよ」の言葉だ。そうなのか。たしかに、そうだ。

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大型犬なんて、本気になれば人間の腕くらい平気でへし折れるだろう。たぶん、素手なら絶対にかなわない。それでも、彼らは人間に牙をむくことはない。叱ればへこむし、なでると喜ぶ。それに、犬は犬同士ではアイコンタクトを取らないが、人間とはアイコンタクトをとりたがる唯一の非霊長類だという記事も最近読んで、そうなのかと思った。

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同じベッドで無防備に爆睡している大吉と福助の体をなでながら、変な奴らだなぁと思うのだった。

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