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こんなハズじゃなかった…飼い主さんが明かす「多頭飼いの失敗談」

多頭飼いに憧れを抱いている飼い主さんって多いですよね。いぬのきもち編集室が、飼い主さんたちに「多頭飼いのメリット」を聞いてみたところ……
・先住犬がしつけてくれる
・癒し倍増!
などのお話が。
楽しくていろんないいことがある多頭飼いですが、それは「幸せな多頭飼い」。一方で、「不幸な多頭飼い」の失敗談が多くあるようです。
飼い主さん122名にアンケート調査をしたところ、数々の具体例が寄せられました。
多頭飼いの失敗談1:犬同士の相性が良くなくてつらい

もっとも多くの回答が寄せられたのが、「犬同士の相性が良くなかった」というもの。
仲良くなれないだけでなく、いじめてしまったり、ストレスのせいで衰弱してしまったケースもあるようです。
・「とても相性が悪く、一方がいじめてばかりいて、見張ってなくてはならなかった」
・「1頭より2頭で寝たほうがあたたかいと思って多頭飼いをしたのだが、片方が気が強く、仲良くできなかった」
・「2頭目を迎えたとき、先住犬がストレスでゴハンが食べられなくなり、点滴をするほど弱ってしまった」
・「3番目のコが凄く甘えん坊、神経が細過ぎで上のコたちが我慢してるように思います」
・「一緒に遊ぶと思ったら、縄張り意識が強くて、一緒の部屋で飼えなかった」
・「とにかくケンカになったときが大変。なかなか止められず、みんなケガします。女のコを避妊してだいぶケンカの回数が減りました。ケンカになる前に、興奮を抑えるのが大切ですね」
犬にも相性がありますよね。本来であれば、一緒に暮らす前に数回会わせてみて、相性を確認するのが望ましいです。
それをせずにいきなり新しいコを迎えてしまうと、「こんなはずでは……」となってしまうのでしょう。
犬同士の相性には、性別も関係ある!

犬同士の相性について、「いぬのきもち」(2017年12月号)では次のように解説されています。
「できれば避けたいのは、同性の組み合わせ。とくにオスは男性ホルモンの関係で、縄張り意識や所有意識、警戒心が強まる傾向が多く『同種間攻撃行動』(要はケンカを吹っかけ合う)が起こりやすくなります。
また、メス同士も互いに排他的になる傾向があります。多頭飼い初心者なら、去勢をすませたオス×メスの組み合わせが安心かもしれません」
(引用:「いぬのきもち」2017年12月号『多頭飼いで幸せになる人・不幸せになる人』p.32)
犬は「自分の時間」も大切にする生き物 犬同士の関わり合いは意外とあっさり

また、スタディ・ドッグ・スクール代表の鹿野正顕先生は、犬同士が仲良くなることについて、期待しすぎは注意と語ります。
「人が考える『仲良しの犬たち』の像には、かなり無理があるということ。人だって、どんな仲良しの間柄でも、一日中ベッタリそばにいて体をくっつけあい、じゃれあうことはないでしょう(笑)。でもなぜか、犬にはそれを期待しすぎてしまう……。それが不幸の始まり、というケースもあります。
犬は人よりもずっとクール。『社会空間行動(パーソナルディスタンス)』のもと、他者とは一定の距離を保って過ごしたいという性質を持っています。気が向いたときにお互いのタイミングが合えば遊び、体を寄せ合って眠るだけです」
(引用:「いぬのきもち」2017年12月号『多頭飼いで幸せになる人・不幸せになる人』p.33)
多頭飼いの失敗談2:良くない影響を受けてしまいがち

「多頭飼いでよかったところ」では、後輩犬が先住犬の影響を受けることで、しつけをしやすくなるケースが少なからず飼い主さんから報告されていました。
しかし、良い影響もあれば好ましくない影響もあるようで……
・「先住犬は大人しく利口だったけれど、後からきたコはやんちゃでイタズラ好き。ゴミ箱をひっくり返したり、一緒になってイタズラや『おやつ欲しい!』とねだるようになった」
・「先住犬がよく吠えるので、真似して吠えるコになってしまった」
・「1頭目が吠えるので、吠えない犬を飼ったが、その犬も一緒に吠えるようになってしまった」
吠え癖やイタズラ好きな一面に影響を受けてしまうこともあるようです
多頭飼いの失敗談3:いつも一緒にいるせいなのか、コミュ力が育たないこともある

また、複数頭でいるからこそ「コミュニケーション能力が育たなかった可能性がある」という飼い主さんの実体験も。
・「2頭目のコは、お迎えした季節も寒かったのであまり外へ連れていったりせず、先住犬としか関わっていなかったので、ほかのコと仲良くできない」
・「兄弟犬2頭をブリーダーから引き取った。1頭ではないのと、ワクチンのタイミングで少し過保護になっていたり、仕事で忙しかったこともあり、社会化の時期に積極的に外出しなかった。『2頭いるので、ほかの犬との挨拶などもできるのでは?』と思っていたが、自分たち(2頭)以外の犬とは、うまく挨拶・交流できず終いだった」
多頭飼いの失敗談4:完全に平等に接するのは難しい

まんべんなく平等に接しようと思っても、実際はなかなか難しいという飼い主さんの声もありました。
・「下のコは甘え上手で我慢強くひょうきんモノなので人気をさらってしまい、上のコと立場が逆転。上のコはちょっとかわいそうかも」
・「まんべんなくが難しい」
・「どうしても愛情に差が出てしまう。意識しても平等は難しい」
新たな犬を迎えた最初のころは、先住犬を優先して接してあげるのが基本。ゴハンもおやつも、飼い主さんのヒザの上に乗ることも、まずは先住犬が優先。
こうすることで、新参犬に「それが当たり前」という感覚が身につけば、争いごとも起こらなくなるからです。
上記の飼い主さんの話にあるように、あとから来たコばかりをかわいがってしまうと、先住犬の心は傷ついてしまうかも……。
そのほかの多頭飼いの失敗談

そのほかにも病気や散歩のときが大変、飼育費がとにかくかかるなどの声が集まりました。
・「2頭になってから留守番が寂しくなさそうだったが、1頭が死んでしまって寂しそう。しばらくは姿を求めて、家の中を探して歩いていた」
・「いつも一緒なので、病気のときに隔離しようとしてもすぐにくっつきます。ハウスはそれぞれにしたほうが良かったですね」
・「散歩が大変」
・「お金がかかる。1頭が鳴くとみんなが吠えて、近所迷惑」
・「飼育費が予想の何倍もかかる」
多頭飼いが成功するかどうかは、飼い主さん次第

多頭飼いが良い方向に転ぶか、悪い方向に転ぶかは犬同士の相性もありますが、飼い主さんの認識不足が原因!
「思ったよりもお金がかかり、家計に負担を及ぼすようになった」など、多頭飼いの増加に伴って、悩みやトラブルも増加傾向にあるといいます。
これについて、ジャパンケネルクラブの戸田美由紀先生は、次のように指摘します。
「これらはひとえに、“飼えば何とかなるだろう”と、準備が整わないまま安易に多頭飼いを始めてしまったから。飼い主側、先住犬どちらも“余裕”があってこそ、新たな犬を迎えて新たな暮らしをつくり上げることができると思います」
(引用:「いぬのきもち」2017年12月号『多頭飼いで幸せになる人・不幸せになる人』p.38)
「犬同士がいがみあうな」どの多頭飼いでのトラブルは改善するのか?

それでは、犬同士いがみあってケンカが絶えないなどのトラブルは、改善できるのでしょうか?
前出の鹿野先生は、下記のように語ります。
「ケース・バイ・ケースです。環境を整え、先住犬、新参犬ともに基本のしつけをやり直すことで解決する場合もありますが、我々プロでもかなり難しい場合もあります。
問題が解決されず、大きなストレスを抱えたままでいると、免疫機能性の低下を招き、愛犬たちの健康や精神状態に影響を及ぼす危険も、
いずれにしても、飼い主さんだけで判断・解決しようとせず、必ずプロに相談してください」
(引用:「いぬのきもち」2017年12月号『多頭飼いで幸せになる人・不幸せになる人』p.38)

愛犬も飼い主さんも、多頭飼いで幸せになりたいですよね。よりよいものにするためには、飼い主さんの覚悟と責任が問われるということを、ぜひ覚えておいてください!
『いぬのきもちアンケート vol.23』
引用・参考/「いぬのきもち」2017年12月号『多頭飼いで幸せになる人・不幸せになる人』
文/サモ江戸
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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