ゴールデン・レトリーバーの華丸くん(6才)には、「繁殖犬」だった過去があります。
いまの飼い主さんが華丸くんにはじめて会ったのは、ブリーダーのところにゴールデン・レトリーバーの子犬を見に行ったときのこと。
子犬とは別部屋のケージの中に、親犬たちがいたそうです。そこで華丸くんの姿を見たとき、ついこの言葉が出ていました。
そのときの華丸くんは、とても悲しそうな表情をしていたのです。
こんなに寂しそうな目をしている犬がいるなんて……
もともと飼い主さんは、子犬を家族に迎えるためにブリーダーのもとを訪れていました。でも、華丸くんを見たときに「このままにはしておけない」と思うのです。
「こんなに寂しそうな目をしているコもいるなんて……」
ほかのコは吠えていたのに、華丸くんだけは静かに、飼い主さんのことを見つめていたのだそう。
ブリーダーに華丸くんの話を聞くと、繁殖が終われば里親を募集するとのこと。それだったら「うちに迎え入れたい」と申し入れ、華丸くんは1年半後に飼い主さんのもとへやってきたのでした。
いままでたくさん頑張ってきたから、「華丸」という名を
繁殖犬時代は、「ボス」という名前だった華丸くん。「華丸」という名前は、家に迎えてから飼い主さんがつけました。
「いままで頑張ってきたので、はなまるをたくさんあげたくて。華丸にしたんです」
繁殖犬のころは狭いケージに入れられて、きっと寂しい思いも、つらい思いもしてきたであろう華丸くん。
でも、これからは普通の犬と同じように楽しく過ごさせてあげたいーー飼い主さんは、そう思ったのです。
先に家に迎えていたゴールデン・レトリーバーの子犬は、喜八くんと名付けられました。喜八くんは華丸くんのじつの息子になり、現在は2才。
そしてこれから、喜八くんと華丸くんの賑やか親子生活がスタートすることになりました。
一緒に暮らすようになって見られた、華丸くんの変化
家に迎えたころの華丸くんは、リラックスの仕方を知らないような感じでした。たとえば寝るときの体勢も、足を折り曲げて窮屈そうな格好で眠るのです。
それはきっと、約6年もの間ケージの中で暮らしていた影響があるのかもしれません。ケージの中では、足を伸ばしてゆっくり眠ることなんてできなかったのだから……。
でも、華丸くんは次第に足を伸ばして、横向きにゴロンと寝られるようにまで心を許してくれました。
また、最初は飼い主さんのあとをずっとついて来ていたけれど、最近では少しずつそれが減ってきたそう。
「この家は自分にとって安心できる場所」と、わかったのかもしれません。
華丸くんと喜八くんの親子関係
喜八くんと華丸くんは年が4才離れています。いくら親子とはいえど、一緒に暮らすことには難しいこともあるかもしれないと思っていました。
年下だけど、先住犬は喜八くん。飼い主さんの家では「先住犬が一番」のルールがあったため、華丸くんがどんな反応を見せるか、少し不安もあったのです。
でも、そのルールを華丸くんは受け入れてくれました。いまでは喜八くんも華丸くんも、「お互いを必要な存在」として認めているようです。
「楽しそうに思いっきり走ったり、喜八と華丸が嬉しそうにワンプロする姿を見るのが、喜びを感じる瞬間ですね」
親子でこうやって遊んで過ごせる毎日がくるなんて。繁殖犬だったころの華丸くんは、きっと想像もしなかったことかもしれません。
これからはたくさん甘えて、楽しく一緒に過ごそうね
飼い主さんがはじめて華丸くんを見たとき、とても寂しそうな顔をしていると話していました。
でも、Instagramに載っている華丸くんの写真や動画は、どれも素敵な笑顔で溢れています。
開放的で、自由に遊ぶことができるおうち。甘えることを許してくれる、優しい飼い主さん。そして、一緒に暮らすことを認めてくれた喜八くん。
約6年もの長い間、繁殖犬として生きてきたけれど、これからは幸せなことがいっぱい待っているはずです。
「華丸、ありがとう。たくさん甘えて、たくさん楽しもうね。大好きだよ!」
飼い主さんからのメッセージも、華丸くんにはきっと伝わっているはずだよね。
参照/Instagram(
@rikuai_kihachi_hana)
取材・文/凜香