先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
これを書いているのは年末ですが、年明け1回目の更新ということで、
あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。さて、毎年新年に今年の目標を書いているが、達成できたのかどうか。
昨年の目標を振り返ってみると、キッチンと風呂場をやり直して、薪ストーブを入れたいと書いているが、どれも達成できていない。
2023年にチャレンジしたこと
ほかには、ドラムスクールに通い始めて叩きたい曲(『what's going on』ダニー・ハサウェイバージョン)を叩けるようになりたいとも書いている。これは完璧ではないが、まぁまぁ叩けるようになった。また、ジムに通い始めて66キロから5キロ落としたが、それが維持できるようにとも書いている。こちらは、残念ながら2キロほど戻っている。
なぜなら、ジムに通えなくなったからだ。ドラムスクールにも現在は通っていない。理由は、山の家がある八ケ岳に完全移住したから。まさかこんなことになるとは、2023年の1月の時点でまったく想定していなかった。もっといえば、移住を決意したのが8月27日で、移住完了したのが11月8日だから、本当に突然思いつき即行動したことになる。自分が分からなくなる。
移住した理由はいろいろあるが、1番は大福のことを考えてである。今年の夏は暑すぎた。毎朝5時に起きて散歩に連れ出し、「なんでこんなに早く起こすんだよ」と彼らに迷惑そうな顔をされる毎日にうんざりしたのだ。年々気温は上がっているし、下がる要素もないから八ケ岳に移住しよう、幸いすでに山の家があるじゃないか、となったのである。
おかげで9月から11月は、やることが山のようにありドタバタしたが、なんとかやり終えた。こうして山の家で新年を迎えることができてよかった。
山の家で迎える2024年の誓い
ちなみに、今回の移住にかかった費用は、軽自動車やカヤックを下取りに出したり、私は使わないエフェクターや機材、古いカメラ、妻はバッグやなんだかよく分からないレアグッズなど売れそうなものをかき集めて売りさばいた結果、合計70万円ほどになり、引越し費用から何からすべてそれでまかなえた。
キッチンや風呂場はできなかったが、山の家にはサンルームができたりした。これも最初からサンルームが欲しかったわけではなく、昨年作った小さな仕事部屋の天井の一部がテラスにかかっており、ゴミが落ちると掃除できないため大工さんとテラスに床でも貼ろうかと相談しているときに、ならサンルームにしようとなっただけである。これも移住を意識してやったことではない。けれど、完成したサンルームは冬でも晴れると暑いくらいなので、これもやっておいてよかった。
というように、振り返ればいつも私は行き当たりばったりの生き方をしている。若いころからずっとそうだったから、この先もそんな感じなんだろう。とはいえ、やはり今年の目標は立てておこう。
定住したんだから、今年こそキッチンと風呂場をリフォームして、薪ストーブを入れよう。おそらくキッチンや風呂のリフォームとなると、その期間は家で暮らせないので、そのタイミングで旅行でもしよう。大福と妻と車に乗り込んで、香川でうどんを食べ、伸び伸びになっている高知へ行き、友人が移住した宮崎まで足を伸ばし、下関あたりでふぐでも食べて帰って来たころにはリフォームも終わっているだろう。実現できるといいな。
それは実現できなくても別にいいが、大福が元気で居てくれればそれでいい。移住前に行った血液生化学検査でも、どちらも異常はなかった。毎年似たようなことを書いているが、それが本心だから仕方ない。大吉と福助が健康でいてくれますように。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。