先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
一般的に犬は、人間より遥かに優れた感覚や能力を持っているといわれている。しかし私はその点について懐疑的である。犬というより、大福に対してだが。
リアクションが鈍い大福
たとえば、脅かすつもりはなく後ろを通っただけなのに、彼らがビクッ!と驚いて振り向くことがよくある。鈍すぎる。
他にも、大福揃って突然吠えまくるから「誰か来たのか?」と外を見ると誰もいないということが多々ある。正解率は50%くらいだから全然信用できない。
さらに、家の前に車が停まった時点で私は友人が到着したことを分かっているが、大福は玄関の前に来て初めて吠えまくる。遅すぎる。
他にも、八ヶ岳では散歩中、鹿に遭遇することは珍しくないが、大福は全然気づいていないなんてこともある(そのときの動画が
コチラ )。
だから感覚は人間と同じか、ちょっと劣るくらいではないかと思う。ただ、潜在的な能力は優れていて、それを訓練で引き出すと、特定の匂いを追跡、発見する探査犬(探知犬)になれたりするんだと思う。
多くの犬が持つ!? 特殊能力
けれど、大福は何の訓練もしていないのに、優れた能力を持っている。それは「もしかして、遊びに行く?」と、いち早く察知することだ。私はまだ何も言っていないし、特別なことは何もしていないのに、である。
そして謎なのは、私ひとり、または妻とふたりで出かけるときは、反応しない。なのに、今日は大福と一緒に出かけようと思っていると「もしかして、遊びに行く?」という目で伺ってくる。
特に大吉の方が鋭くて、勘付くのが早い。それを見て、福助は「え? 出かけるの? やったー!」となる。繰り返しになるが、まだ支度すらしていないのに。
私は、普段着と大福と遊びに行くときの服装は同じだ。バッグだって、自分用と散歩バッグを持つが、それは出かける寸前に玄関で用意するので、それでバレているとは思えない。
大吉が、いったいどこを見て、どういう判断基準で「もしかして、遊びに行く?」となるのか、さっぱり分からない。
犬と暮らす友人と話しても、たいてい「うちもそう! あれ、謎だよね」と言うので、多くの犬が持っている特殊能力かもしれない。
もうひとつ、車で出かけたときに、目的地に近くなると、それまで寝ていた犬がむくっと起きる現象もある。これも最初は特殊な能力かもしれないと思ったが、最近はきっとナビの音声を聞いているんだろうなと思っている。
しかし、「もしかして、遊びに行く?」察知能力は謎のままだ。あまり役には立たないけれど、優れた能力だと思う。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」 というブランドを立ち上げる。2023年11月、犬のために八ヶ岳へ移住する
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
『犬のために山へ移住する』(草思社刊)