とっても穏やかで優しい表情を見せている、柴犬のはなちゃん(推定10才)。
はなちゃんの幸せそうな表情からは想像できませんが、「繁殖犬」だった過去があります。
犬を家族に迎えるのに、「里親の選択肢がある」と知った
日々の癒しは、かわいい動物の動画を見ることだった飼い主さん。そのうち、「自分でも犬を飼いたい」と思い始め、犬好きの友人に相談することに。
そのときに「里親っていう選択肢もあるよ」と言われ、ハッとしたのだそう。
それから毎日ネットで里親募集を探し、目に止まったのが、不安そうな表情をしているはなちゃんだったのです。
多頭飼育崩壊したあとに、放置されていた
元繁殖犬のはなちゃんは、「引き取り屋」と呼ばれるところに何十匹と柴犬ばかりが集められ、その後、多頭飼育崩壊して放置されていたコだったのだそう。
「はなは痩せていて、ネコ科の動物のように姿勢を低くして、警戒しながら様子を伺っていました」と、はなちゃんと初めてお見合いしたときの様子を話す飼い主さん。
はなちゃんがこれまで生きてきた大変な境遇を知り、家族に迎えることを決断したそうです。
人やほかの犬に警戒心はあるけれど、次第に変化も見られるように
とっても警戒心が強く、いまだに人やほかのワンちゃん、知らない場所が苦手だというはなちゃん。
昔、叩かれていたことがあったのか、飼い主さんの手が動くとギュッと目を瞑っていたのだそう。
だけど、「お手」や「お座り」はあっという間に覚えたという、とっても賢いはなちゃん。自分の名前が「はな」だということも認識しているようです。
「ビビりゆえに、人に迎合しない態度をとるけれど、ほんとうは好奇心旺盛で、とても記憶力のいいコだと感じます」
最近は、手にはおやつがあると思うのかニオイを嗅ごうとしたり、こんなふうに甘えるような素振りを見せたり。
はなちゃんにも、徐々に変化が見られるようになったのです。
「元気でいてくれるだけで幸せですが、少しずつ距離が縮まってきたと実感できるときが、ほかでは感じない嬉しさがあります」
「おやつが欲しいときにツンツンしてきたり、とか。ほかの方にとっては、本当にたわいのないことだと思うんですが」
はなちゃんとの毎日に、幸せを感じる日々
「大袈裟かもしれませんが、はなは生きる意味を与えてくれました。いまは、はながいるから絶対に事故にも遭ったらマズイし、私が元気でいなかったら、はなが生きていけないんです」
はなちゃんに変化が見られたように、飼い主さんもはなちゃんに出会い、気持ちの面でもたくさんの変化があったそうです。
はなちゃんの存在が、生きるモチベーションにもなっているのですね。
何気ない瞬間にも、たくさんの幸せを感じている飼い主さん。はなちゃんの穏やかで幸せそうな表情からも、飼い主さんに心を開いているのが伝わってきます。
飼い主さんから愛情をいっぱいもらっているはなちゃん。これからもきっと、楽しいことがたくさん待っているはず。
はなちゃんと飼い主さんの距離がぐっと縮まるのも、そんなに遠くないかもしれませんね。
参照/Instagram(
@hana_shiba_dog)
取材・文/雨宮カイ