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7才を越えた大吉「穴澤賢の犬のはなし」

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7才を越えた大吉

少し前に書いたように、大吉は今年で7才になった。犬は7才からシニアといわるが、私にとってはちょっと特別な年齢でもある。なぜなら、富士丸が亡くなったのは7才だったからだ。まだまだこれから長い付き合いになる、と色々計画していた矢先の、ある日突然の別れだった。

その頃は、もう富士丸が何を考えているか、何を望んでいるのか、目と態度を見ればわかるようになっていた。逆にきっとあいつも私のことをわかっていたんじゃないかと思う。犬なのだが、私の中では「人」だった。一緒に暮らした7年で、それくらい濃厚な関係になっていた気がする。彼には彼の主義主張があったし、好き嫌いもあった。

では、大吉はどうなのか。いつの間にか、大吉も私の中ではすっかり「人」になっている。主義主張もあるし、好き嫌いも激しい。昔から出かけるときに見送りには来ないし、出迎えもしない。私がリビングで飲んでいても、自分が眠くなったらさっさと寝室に消える。呼んでも降りては来ない。朝、散歩に行くときも私のほうが早く起きて、大吉は後から眠そうにダラダラと起きてくる。

食に対する執着心もほとんどなく、気が向かないときは食べない。たとえば、自分が食べている魚を少しだけおすそわけしてやろうかと思っても、ニオイをかいでプイと横を向くこともある。アジは好きだが、サンマは嫌いらしい。しかし自分がかまって欲しいときは露骨に要求してくる。なんとわがままな。

そういえば、富士丸もわがままな面はあった。出迎えにも来ないことが多かった。当時は1DKマンションだったので玄関から部屋に入ればすぐ目に入るが、人が帰ったというのにソファの上でくつろいだりしていた。食に執着心もなく、食べないことはしょっちゅうだった。おすそわけしてやろうとしても、スルーされたこともあった。

そんな犬は珍しいと思うが、なぜ富士丸も大吉もそんなわがままなやつだったんだろうか。特に甘やかしたりもしていないのに。ひとつ違うのは、富士丸は散歩が本当に好きで、朝もよく起こされたし、私より後に起きるなんてことは絶対になかった。朝起きたら目の前に富士丸の顔があって、散歩の催促をされたこともあったっけ。懐かしいな。

そう考えれば、大吉のほうがわがまま度が高いような気もする。ただ、福助には心が広く、しつこくちょっかいを出されても本気で怒ることはない。まぁ別にわがままでも特に困ることはないし、「あっそ、好きにすればいい」と思うだけだ。そんなことより、7才になった今もまだまだ動きが若々しいことが嬉しい。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雪と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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