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ポジティブな犬とネガティブな犬がいる|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.21
今回は、犬の育て方によって、ポジティブマインドを持つ犬と、ネガティブマインドを持つ犬に分かれてしまうというお話。気づかぬうちに、犬をネガティブマインドにしてしまう接し方・育て方を、案外やってしまっているかも!?(編集部)
興味深い話がいろいろありましたが、ポジティブなモチベーションとネガティブなモチベーションに関する話もそのひとつ。
記録が伸びれば報酬が得られる。それに対して、記録が伸びなければ、罰金などの罰則が課せられる。どちらが、いい結果を残せるか。という、お話。
おそらく前者だろうな、と想像するわけですが、それが脳科学的にもそのとおりと示されていました。
なんで、こんな話をし始めたかと言うと、前回のクリッカートレーニングの原稿をアップしたあとに、この脳の話がふっと思い出されたからです。
ポジティブマインドとは
ポジティブマインドの犬は、何かしましょうか? 今度はどれをやりましょうか? といった感じで、期待を持った表情を飼い主に示します。
何か行動を起こすといいことが起きる。いいことが起きる行動は何かを、積極的に考えるので、新しい行動も教えやすくなります。
それに対して、ネガティブマインドの犬は、何か行動を起こすと嫌ことが起きる、罰せられないためにはどうするか、をまずは考えるようになります。
ネガティブマインドが強いと
その犬は、飼い主に徹底的に叱られて育てられ、訓練所で服従訓練を受けて帰ってきた犬でした。
命令には従う。しかし、命令されたこと以外はやらない。勝手なことをするとえらい目に合うことを嫌というほど体験してきた結果です。
その犬は、家から5分ほど離れた特定の場所で排泄をする習慣が出来上がっていました。しかし、とある事情で、室内トイレを教える必要が出てきた。
ポジティブマインドを有している犬なら、クレートに待機させおしっこを膀胱に溜めさせ、ある程度溜まった時点で室内トイレへ連れていき、そこで排泄をしたら報酬を与える。この方法で、それほど時間がかからずに室内トイレを教えることができます。
でもその犬はそうは行きません。室内で排泄なんかしたら、とんでもないことが起きる。なんと48時間排泄を我慢したのです。しかも、室内で排泄をしたから叱られると思ったのでしょう。報酬のフードを口にすることもできなかったのです。
ポジティブマインドの犬に育てるには
であれば、叱ることを排除し、結果的にいいことが起きた行動の頻度を高める行動原則のみを用いて、好ましい行動を次々に教えていく。これらができれば、クリッカートレーニングを用いなくとも、ポジティブマインドは形成できる。
ところで、そもそも何で「脳の世紀シンポジウム」なるものに、私は出向くのか? と気になる方もおられるかと。
それはですね、人間と犬はどこが一緒で何が違うか、ってことを知るヒントに多々出会えるからなんですね。
そのヒントを得られることが、私にとっての報酬となっている。そう、ポジティブなモチベーションによるところのものなのですね。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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