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元飼い主の犬アレルギー発覚で飼育放棄寸前になった犬→新しい家族と出会い、幸せな日々を過ごしていた
前の飼い主さんのもとで暮らせなくなってしまい、放棄されそうになっていたフレンチ・ブルドッグのぽんちゃん。新しい飼い主である飯村さん夫婦に出会わなければ、いまどうなっていたことかわかりません。

いぬのきもちWEB MAGAZINEでは、ぽんちゃんとの出会いや現在の暮らしについて、飯村さんに2回に分けて(2018年8月/2021年4月に取材)お話を伺いました。
元飼い主に犬アレルギーが発覚 同じ空間にもいられず、外飼いに……

飯村さん夫婦は、これまでボストン・テリアを家族に迎えてきました。亡くなったコたち、そしていま一緒に暮らすぴこちゃんも、みんな元繁殖犬だったコたちだそうです。
飯村さん夫婦が胸騒ぎがする話を聞いたのは、2017年3月の終わり頃。知人が、「まだ生後5カ月だけど、放棄されそうな犬がいる」と相談してきたのでした。

そのコは、フレンチ・ブルドッグの男のコ。元飼い主がペットショップで購入したけれど、いざ飼い始めてみて親子共々「犬アレルギー」だとわかったのだそう。
そのコに触れられないばかりか、同じ空間にいることすらもできず、日中は完全に外飼い。夜だけ玄関内で寝かせていたようですが、冬の寒い時期にひと月以上もそんな環境で飼われていたといいます。
まだ生後5カ月といえば、社会性を育まなければいけない大事な時期。飯村さんは、ぽんちゃんのことを聞いたときの気持ちを次のように振り返ります。
飯村さん:
「甘えたい盛りでもあろうに、人の優しさも温もりも知らないまま毎日をどんな思いで過ごしているのかと考えると、いてもたってもいられず。その週末、ぴこを連れて会いに行きました」
ぽんちゃんを家族に迎えるにあたり、不安だったことも

ぽんちゃんを家族に迎えるにあたり、唯一不安だったのはぴこちゃんとの相性。メスのぴこちゃんはパピーミル出身で、3年以上もの間、繁殖犬として過ごした後に放棄されてしまったコでした。
オスのぽんちゃんは、成長すればこれからもっと体格が大きくなることが予想されます。大きい男のコの存在をぴこちゃんが拒絶しないだろうかと、2頭を会わせるまでは不安でいっぱいだったといいます。

しかし、実際に会わせてみると、2頭の仲はまったく問題なし! 吠え合うことも、飛びかかることもなく、並んで一緒に歩いてくれたのです。
こうして、飼育放棄されそうだったぽんちゃんを飯村さん夫婦は引き取り、一緒に暮らすこととなったのでした。
ぽんちゃんの「ここがかわいい!」と思うところ
フレンチ・ブルドッグを飼うのが初めてだった飯村さん夫婦ですが、ぽんちゃんを家族に迎えてから、「フレンチ・ブルドッグってこうなんだ!」という発見があったそうです。
たとえば、想像していたよりもずっと体が大きいということ。抱っこするのも一苦労で、じゃれているだけなのに感覚的には「ぶつかり稽古」をしている感じなのだそうです。
このほかにも、いろいろな嬉しい発見があったといいます。
飯村さん:
「見せるしぐさやじゃれるときの動きは、幼さがたっぷり。この幼さとコワモテのギャップがぽんの魅力で、私たちはすっかりそれにヤラれてしまったんです」
人が大好きだというぽんちゃんは、かつての境遇の反動なのか、触られていることが大好きなのだそう。とくに「パパ LOVE」だそうで、家ではずっと旦那さんのあとをくっついているといいます。
飯村さん:
「お風呂でもトイレでも扉の前で出てくるのを待っているのですが、おもしろいのは扉が開くと、ひと足先にササッとリビングまで戻ってきて、『ボク待ってなんかいないよ』って涼しい顔をして、しらばっくれることです。待っていたところの床があたたかくなっているから、すぐバレちゃうんですけどね(笑)」
ぽんちゃんの寝顔を見て、喜びを感じる日々
飯村さん夫婦に出会うまで、きっと寂しい思いをしていたぽんちゃん。そんなコがスヤスヤと眠っているところを見るのが、飯村さんが喜びを感じる瞬間なのだそうです。
飯村さん:
「私たちの横で危機感なく安心して寝ているぽんの姿を見ると、リスタートがうちでも良かったと思ってくれているのかなと、勝手に想像して喜んでいます。ぴこぽんふたりで2倍……ではなく、20倍の喜びです!」
愛に溢れた飯村さん夫婦に出会えたぽんちゃん。もう寂しく孤独な思いなく過ごしていけるのではないでしょうか。
【ぽんちゃんのその後に迫る】前回の取材後、どのような日常を送っているのかを聞いた
前回の取材から2年が経過します。現在のぽんちゃんとの暮らしなどについて飯村さんにお話を伺ってみると、ぽんちゃんがそばにいることが当たり前の毎日になったといいます。
以前よりも表情が豊かに
——前回の取材後、ぽんちゃんに何か変化はありましたか?
飯村さん:
「体重は1kgほど増えただけですが、骨格がガッチリとして成熟した体格になりました。表情も豊かになって、大人になったなと思います。でも甘えん坊っぷりは健在で、夏でも抱っこしてアピールがすごくて。13kg超が膝上に跳び乗ってきます(笑)」
——かわいいですね♪ いまでも「パパ LOVE」なのでしょうか?
飯村さん:
「そうですね。ぽんはヤキモチ焼きで、夫が同居犬のぴこをお風呂に入れていると嫉妬してしまって、キュンキュン鳴きながら脱衣所をウロウロするんです。でもいざ自分の番になると、お風呂が嫌いだから一目散に逃げるんですけどね(笑)」
——ぽんちゃんと一緒に暮らすなかで、新たな発見などはありましたか?
飯村さん:
「よく私たち夫婦の動きを観察していて、無駄な動きをあまりせずに先を予測して行動しているなと思います。たとえば、オフに私たちが出かける準備を始めると、玄関に行ってペットカートに自分で乗り込み、置いて行かれまいとアピールします。 食事の準備中は、欲しいと騒がずに足元でじっと待ち、盛り付けが終わると配膳場所に先回りしていますね」
——ぽんちゃんの賢さが伺えるエピソードですね!
小さな幸せが長く続いてほしい

——ぽんちゃんとぴこちゃんの関係性はどうですか?
飯村さん:
「ふたりは決して仲良しとは言い難いですが、ぽんがぴこの存在を認めているなと感じる出来事がありました。それは、ぴこに腫瘍が見つかり手術・入院をしたときのことです。
ぽんは大好きな夫を独り占めして、お散歩は自分の好きな方向へ行きたい放題。でも、おもちゃで遊んでもぴこに奪い取られないし、自分が一番にごはんを食べられるのも、いつもと違ってヘンな感じ…と思ったのでしょうか。
ぽんはひとりっ子を満喫するかと思いきや、何かいつもと違って調子が出ていないようでした。ぽんはぽんなりに、ぴこの存在を認めているんだなと思いました」
——いつもそばにいたぴこちゃんがいなくなって、何か感じることがあったのかもしれませんね。
飯村さん:
「つかず離れず、互いの存在を認めてはいるようです。イタズラするときはだいだい共犯です(笑)」
このコたちといろんなことを体験し、たくさん楽しい思い出を作っていきたい
——改めてになりますが、ぽんちゃん・ぴこちゃんと過ごす日々をどのように感じていますか?
飯村さん:
「ぴことぽん、ふたりともそばにいることが当たり前の毎日。ぽんとは一緒の枕を使って寝るんですが、ふといびきと寝息を近くに感じて目を開けると、目の前にぽんの顔がドーンとあってとても愛しく感じます。そんな小さな幸せが長く続けばいいなと思います。 我が家は何をするにも一緒。ふたりの存在が欠かせません。
いまはコロナの影響でいろいろと制限はありますが、これからもこのコたちといろんなことを体験し、たくさん楽しい思い出を作っていきたいです」
飯村さん夫婦のもとで、幸せいっぱいな日々を過ごしているぽんちゃん。ぽんちゃん・ぴこちゃんの日常の様子は、ぜひInstagramでもご覧ください。
写真提供・取材協力/飯村さん(@ricky_khana)
取材・文・構成/雨宮カイ
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