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飼育放棄された柴犬→大切な家族と出会い、今では家族みんなを支える大きな存在に

飼育放棄された過去が
東日本大震災があったこの年、被災した動物たちの悲しい現実や状況を知った飼い主さんは、「犬たちのために何かしてあげたい」と考えていたといいます。そんなときに、ゆりあちゃんたちが保護されていることを知り、いてもたってもいられず、ゆりあちゃんを迎えに行くことを決めたのです。
けんしろうくんが、ゆりあちゃんの心を開いてくれた
そんなゆりあちゃんですが、先住犬のけんしろうくんを見た途端、自らサークルの外に出てきてくれたのです。
飼い主さん:
「けんしろうは、ゆりあの目の前でおなかを見せて挨拶してくれて。このときから、ゆりあにとって、けんしろうは神様になりました。けんしろうが『人は怖くないんだよ』って教えてくれたんですよね。今はもう神様じゃなくって、同じ犬だってゆりあも気づいたみたいですけど(笑)」
「けんしろうと出会い、ゆりあは風や土のニオイを感じ、自由に駆ける喜びを知りました。そして、人の温もりも。時間はかかりましたが、怖かった人の手にすり寄って甘えることができるようになりました。今では、けん兄ちゃんの上をいくママのストーカーだったりもします(笑)」
飼い主さんは、ゆりあちゃんと「心が繋がった」と感じることができたときに、ゆりあちゃんと出会えたことへの感謝の気持ちでいっぱいになったとも話してくれました。
2頭はお互いになくてはならない存在に
ゆりあちゃんは、飼い主さんご家族・けんしろうくんと出会えたことで、普通の家庭犬が感じるような幸せや喜びを知りました。
でも、けんしろうくんのそばにゆりあちゃんがいてくれるので、飼い主さんは安心できると話します。
「これまでの留守番は『ビビリなゆりぃが心配でたまらないけれど、けんちゃんがついていてくれてるから大丈夫』と思っていました。でも最近は『ゆりぃが一緒にいてくれるからきっと大丈夫』に変わってきています。ゆりぃ、大好きなお兄ちゃんのことをそばで見ててあげてね」
どんな状況でも支え合うゆりあちゃんとけんしろうくん。2頭は、お互いになくてはならない存在になったようです。
【ゆりあちゃんのその後に迫る】前回の取材後、どのような日常を送っているのかを聞いた
ゆりあちゃんの存在の大きさを感じる出来事が
飼い主さん:
「2020年6月にけんしろうは14才になり、少しずつおとぼけさんな様子が見られるようになりました。大の甘えん坊だったけんしろうが、人に興味を示さなくなって意思疎通も難しくなり、『これからどうやってけんちゃんと向き合っていけばいいのかな』と自問自答している私をよそ目に、ゆりあは何も変わらずけんしろうと“会話”ができていて。
それはまるで、『言葉なんてなくても心でちゃんとお話できるよ』と、ゆりあが私に教えてくれているようでした」
「ゆりあがうちに来たばかりの頃、けんしろうがゆりあと私の橋渡しをしてくれていたように、同じことを今度はゆりあがやってくれていますね」
飼い主さん:
「ゆりあは外に行けばけんしろうの一歩先を歩き、人や犬にご挨拶。寝て過ごすことの多いけんしろうを遊びに誘って刺激をくれたり、深夜徘徊で歩きまわるけんしろうに『しっかりしなさい』と一喝して眠らせるといった、びっくりするくらいたくましい姿も見せてくれるようになりました(笑)」
飼い主さん:
「現在、けんしろうはスプーンでお給仕しながらごはんを食べているのですが、ゆりあはごはんの入っている器には絶対手を出しません。でも、けんしろうの口からこぼれたものはオッケーだと思っているようで、いつも隣に張りついておこぼれを食べたりしてます(笑)
迎えた頃は、推定2才とは思えないくらい小さくて華奢だったゆりあは、今では家族みんなを支えてくれる大きな大きな存在になりました」
2頭とのんびり過ごすお家時間が、何よりも幸せ
飼い主さん:
「若い頃の2頭には、大好きなドッグランへ毎週のように行き、野原を思いっきり走り、追いかけっこして楽しんでもらいました。シニア期を迎えてからは、想い出作りに毎月のように旅行へ出かけ、2頭と一緒にきれいな景色をたくさん楽しみました。
その幸せな想い出を、『あんなこともこんなこともあったね〜楽しかったね〜』と言いながら、今はけんしろうとゆりあとお家でのんびり過ごす時間が何より幸せです。ごはんを食べてくれて、楽しくお散歩に行けて、幸せに眠ってくれる——この繰り返しの日々がとにかく愛おしいです」
少しでも長く一緒にいられるように、2頭をサポートしていきたい
飼い主さん:
「できなくなったことももちろんたくさんありますが、それ以上に日々の暮らしのなかに、こんなにも幸せがたくさん詰まっているのだと、一日一日を大切に想って過ごせるようになりました。
けんしろうとゆりあが、その貴重な一日を少しでも長く一緒に重ねていけるようサポートしていくことが今の私の役割で、たくさんの幸せを届けてくれた2頭への恩返しだと思っています。来年1月のゆりあの“うちの子記念日”が、けんしろうとゆりあが兄妹になってちょうど10周年なので、2頭そろって元気にその日を迎えたいです!」
取材・文/雨宮カイ
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