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悲しい「これじゃない感」【穴澤賢の犬のはなし】

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先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

以前から書いてきたように、大吉と福助は食に執着心がない。わが家は基本手作りだが、平気で残すし、ひどいときは差し出しても「今はいらない」という顔さえする。お互い横取りしようとはしないし、遊びに来た犬が残っているゴハンを食べても怒りもしない。オモチャはすぐ横取りするくせに。

食に対するこだわりのない2頭

食べることが何よりの喜びで、何でも瞬殺する犬と暮らしている人は信じられないかもしれないが、そういう犬もいるのだ(富士丸もそうだった)。手作りもいろいろ試してみたが、なぜかそういう気質は変わらない。

かといって、やせ細ることもない。ときどき思い出したように食べているし、定期検診でも体重の変化はほとんどないから、自分でコントロールしているんだろうと考えて「まぁいいか」と思っていた。

アレにまさかの好反応

ところがこの前、手作りする時間がないときに、スーパーで買ってきた缶詰(犬用)をあげると、大吉と福助は猛烈に食べた。お皿まで舐めている。これまでも缶詰をあげたことあるが、ここまで食いついたことはない。

たまたま選んだ缶詰がツボだったのか、試しに翌日も同じ缶詰を与えようとすると、珍しく福助がにおいで気付き、キッチンまで入ってきて「早く、早く!」と催促するような顔をする。そして、あげると速攻で完食した。なんてことだ。こんなことは初めてだ。

親心、子知らず

そうか、手作りが嫌だったのか。好きな味なら君らもベロっと食べるわけね。栄養バランスなどばかり考えて、そんなことに今まで気付いてやれず、申し訳ないことをした。そんなに好きなら缶詰にしよう。それならまとめ買いした方がお得だ。そう思い、ネットで探して同じシリーズの味別に6缶セットをいくつか注文してみた。

さぞ喜んで食べてくれるかと思いきや、2日もしたら、残し始めた。3日目には「またこれ?」という顔になり、翌日には露骨に「これじゃない」と目が語っていた。いやいや、せっかくお前らのためにたくさん注文して届いたばかりなのに。

結局、以前と同じように手作りに戻し、在庫を片付けないといけないので、缶詰は毎回少しずつトッピングしている。また以前と同じように残して後で食べたりする「遊び食い」に戻った。彼らはそういう性格だと知っていたはずなのに、喜んだ自分がバカだった。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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