愛犬はどのような場所で寝ていますか?飼い主さんから見ると眠りにくそうだったり、窮屈そうだったり、意外な場所で寝ていたり……。実はそこにはさまざまな理由があるのです。今回は、寝る場所からわかる犬の心理を、哺乳類学者の今泉忠明先生が解説します。
どうして寝る場所で犬の気持ちがわかるの?
犬は「家族全員を見渡せる場所」を好んで寝場所にします。
一見、「ひとりでいたいのかな?」と思えるような狭い場所や部屋の隅で寝ていても、そこが大好きな家族の存在を感じられて安心できる場所だということ。
野生時代の犬は、小さな物音ひとつでもすぐに動き出せるほど、眠りが浅かったといわれています。そうした本能は家庭犬になっても残っており、寝ているときでも家族の気配を感じているのです。
一方で、ところかまわず“ヘソ天”で熟睡する犬も。敵のいない安心できる環境なればこそですね。
犬が寝る場所を選ぶときの3つのポイント
家族の動きにいち早く反応できる場所
野生の犬は敵に備えて眠りが浅かったわけですが、その本能は飼い主さんの声にすぐに反応するために受け継がれています。たとえば「散歩」と声がしたら、すぐに動き出せるような寝場所をセレクトしているはず。
安全で静かな場所
たとえば、寝ているときに足を踏まれた経験があると、足を隠せる場所を見つけて、足だけを隠して寝ることも。足は踏まれたくないけれど、飼い主さんのそばにはいたいといった気持ちが読み取れます。
安心して眠れる場所
先述したとおり、犬にとっては家族の気配を感じられるところが安心できる寝場所。家族全員が目に映ったり、家族の声や足音を聞いていられたりすると安心できて、心地よく眠りに落ちていけるのです。
犬が足元で寝る理由は?ベッドのどこで寝るかでわかる愛犬の気持ち
足元
足元は、飼い主さんと対等な関係に近い犬が選びやすい寝場所。背中や足先など、体のどこかしらを飼い主さんにくっつけていることが多く、飼い主さんに何かあれば助けようと思っています。
枕元
枕元は、じつは犬のほうが飼い主さんを子どもと思っている場合に多い寝場所です。飼い主さんに何かあれば、自分が面倒を見てあげなければと思っているため、顔の近くにいるようです。
ベッドの下
飼い主さんに従順な犬や、飼い主さんのベッドに上がらないようにトレーニングされている犬は、限りなく飼い主さんに近い場所で寝ます。好きな気持ちをわかってほしい距離といえます。
飼い主さんが起きたあと
飼い主さんが起きると、入れ替わりで布団に潜りこむ犬も。飼い主さんのニオイやぬくもりが残った布団をひとり占めして寝たいのでしょう。独立心が強めの犬がしやすい行動です。
寝る場所や寝姿にも、愛犬の心理を探るヒントがたくさんあります。愛犬が落ち着いて眠れる環境を整えてあげつつ、ときには愛犬がどんな気持ちなのか想像しながら、愛犬のおやすみタイムを見守ってあげてくださいね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳類学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「いぬのきもち」2020年3月号『愛犬の心理を読み解こう! “寝る場所”でわかる犬のキモチ』
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。