愛犬は一生元気で歩けるようにするには、足の筋肉が落ちないように、できるだけ早いうちからケアするようにしましょう。そこで今回は、犬の後ろもも筋のケア方法について、獣医師の佐々木彩子先生に伺いました。
犬は後ろ足の筋肉から衰えやすい
犬は前足に7割、後ろ足に3割の体重をかけているといわれています。前足に体重をかけるぶん、後ろ足の筋肉から衰えやすいので、放置すると蹴り出す力が弱って歩きにくくなります。若いうちからストレッチとトレーニングでケアをして、元気な足を生涯キープしましょう。
犬の後ろももの簡単な筋力チェック
愛犬の後ろ足に筋力がどれくらいあるか、以下の方法で測定してみましょう。足拭きや散歩のついでに行うなど、定期的に確認する習慣をつけておくと安心です。
バランス
後ろ足を持ち上げてチェックする場合は愛犬のおなかに手を添えて支えておくと愛犬がいやがりにくい 参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
4本の足を前足から順番に持ち上げて、反発する力をチェックします。持ち上げにくい足には体重がかかっていますが、簡単に持ち上げられる足は、ふだん体重がかかっておらず、筋力が衰えて弱りぎみになっている可能性があります。
なお、後ろ足を持ち上げるときは、愛犬のおなかに手を添えて支えておくと愛犬が嫌がりにくいですよ。
ふくらはぎのハリ
ふくらはぎのハリを確認するには片手でおなかを支えながら後ろ足のかかとの少し上あたりをやさしく触ります 参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
もも裏の筋肉が衰えると、ふくらはぎに負担がかかります。愛犬のお尻の下がへこんでいたり、ふくらはぎがパンパンに張っていたりしたら、もも裏の筋肉が弱っているかもしれません。
ふくらはぎのハリを確かめる場合は、片手でおなかを支えながら、後ろ足のかかとの少し上あたりをやさしく触りましょう。指が沈まないほど張っていたら要注意。わかりにくい場合は、ほかの足と触り比べてみてください。
歩き方
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
歩き方にクセがあると、筋肉を使うバランスが悪くなって筋力低下につながります。後ろ足がO脚だったり、前足より後ろ足の歩幅が狭かったりとばらつきがある場合は、ももの筋力が弱っている可能性があります。
愛犬が歩いている姿を後ろから見て、足先がすべて同じ方向を向いているか、後ろ足がO脚ぎみになっていないか、前後の足で歩幅に違いがないかチェックしましょう。
ケガ予防になる! 後ろもも筋のストレッチ方法
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
ここからは関節の可動域を広げて、ケガの予防にもなる、後ろもも筋のストレッチ方法をご紹介します。
足首のストレッチ方法
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
まずは、トレーニングの前にストレッチで弱った筋肉をほぐし、関節の可動域を広げましょう。足首は地面に近く、体重を支える重要な部位です。足首を曲げ伸ばしするストレッチを行えば、ももにかかる負担を軽減でき、足全体の筋肉も効果的にほぐせます。
足首をゆっくり曲げて、ゆっくりと反らして伸ばすことを繰り返す
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
片手でもものつけ根を支えながら、愛犬の足先を持ちます。愛犬の足首が無理なく動かせる範囲内で、3秒かけて足首をゆっくり曲げ、次は足首が反る方向に3秒かけて伸ばすことを5回ほど繰り返しましょう。
抵抗運動ストレッチ
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
飼い主さんが犬の足先に触れると、犬が自然と足を引っ込めることがありますが、この動きを後ろもものストレッチに使います。嫌がる犬は、飼い主さんが曲げ伸ばしをサポートしてあげてもよいでしょう。
ももを後ろに伸ばし、ひざを元に戻すことを繰り返す
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
片手をおなかに、もう片方の手ひざに添えて支えながら、ひざを前からやさしく押して足全体を後ろ足に伸ばします。ひざを押す手を離し、愛犬がひざを引っ込めたら再び押すことを5回ほど繰り返しましょう。
下半身を温めたあとにマッサージしてから行うと効果がUP!
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
気温が下がる秋冬は筋肉も冷えてこわばりやすいので、急にストレッチをすると犬が痛がることもあります。愛犬の下半身にホットタオルなどをかけて温めたあと、指先でやさしくつまむ程度の力で後ろ足をマッサージしてから始めると、効果UPが期待できます。
自分の足で元気に歩くことは、愛犬の気持ちを若々しく保つことにもつながります。ストレッチなどを無理なく取り入れながら、愛犬と一緒にたくさん歩いてあげましょう。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(「キュティア老犬クリニック」獣医師 獣医中医師1級・獣医推拿整体師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
文/宮下早希
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性がない場合もあります。
※持病がある犬やハイシニア犬などは、かかりつけ医と相談のうえで行ってください。それ以外でも、愛大がケガをしていたり体調不良の場合は控えましょう。また、無理はさせず、愛大につらそうな様子やしぐさが見られたらただちに中止しましょう。