愛犬が自分のウンチを食べたり、留守番のときだけそそうしたりする……。その困りごと、飼い主さんの勘違いや行動が原因なのかもしれません。そこで今回は、犬が食フンやそそうをする原因とその解決策について、獣医師の藤本聖香先生に伺いました。
飼い主さんが悩んでいる犬の問題行動とは
参考・写真/2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
「いぬのきもち」読者によるアンケートでは以下のような結果となりました。
みんなが悩んでいる犬の問題行動
1位 吠えグセ(53.5%)
2位 興奮グセ(18.2%)
3位 食フングセ(17.6%)
4位 拾い食いグセ(15.7%)
5位 飛びつきグセ(12.6%) など
※「いぬのきもち作り隊」の読者へのアンケート(計159人、2024年9月実施、複数回答)を集計した結果です。
犬が「食フン」する理由・心理は?
参考・写真/2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
愛犬が自分のウンチを食べてしまう「食フン」。子犬の時期限定の困りごとと思いきや、じつは成犬どころか、シニア犬になっても繰り返すことがあります。
飼い主さんが急げば急ぐほど「次は取られないぞ」と犬も必死に
愛犬にウンチを食べさせまいと、飼い主さんがあせってウンチを奪いに行くと、犬にウンチを「宝物のようなすごいもの」と感じさせてしまいます。
飼い主さんが急げば急ぐほど、犬は飼い主さんにウンチを奪われまいと余計に急いで食べるようになったり、なかにはゲーム感覚になって、飼い主さんの反応を見て楽しむようになったりする犬もいます。
【解決策】ウンチを食べなかったときに思いっきりほめよう
散歩中に外でしたウンチを食べる犬はほとんどいないので、そのタイミングを狙い、「ウンチを食べなくてえらかったね」と思いっきりほめましょう。これを繰り返すと、犬は「ウンチを食べないほうが飼い主さんにほめてもらえる」と覚え、室内でも食べなくなっていきます。
なお、成犬が食フンする場合は腸の状態が悪かったり、体にミネラルや栄養分が不足していたりする場合もあります。シニア犬では認知症の可能性も考えられるので、動物病院での受診を検討してみてください。
犬が「そそう」する理由・心理は?
参考・写真/2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
飼い主さんからは、ふだんはトイレで排泄できるのに、留守番させたときだけそそうする、という困りごとが多数寄せられました。「腹いせでやっている」と思いがちですが、実際の理由は違うようです。
「こうすれば飼い主さんがよろこぶ」と思っています
留守番の不安感から本能的にそそうする犬もいますが、飼い主さんが愛犬のそそうを見て大騒ぎする姿を「よろこんでくれている」と覚え、帰宅した飼い主さんへのウェルカムサービスのつもりでオシッコする犬は多いです。いずれにしろ、犬には「腹いせ」という感覚はありません。
【解決策】粛々と片づけて「今後は不要です」と伝えよう
飼い主さんが大騒ぎすればするほど、犬は「そそうすれば飼い主さんが反応してくれる」と思って繰り返すようになるので、無反応の状態で静かに片づけましょう。飼い主さんがよろこばないとわかれば、犬もしだいにやらなくなっていくはずです。
また、キレイ好きの犬だと、トイレシーツやトレーが汚れているだけでも嫌がって、そこでの排泄を避けることがあります。シーツをこまめに取り替える、トレーも定期的に掃除するなどして清潔さを保ちましょう。
愛犬のキモチを正しく理解して対応することで、問題行動や困りごとをグッと少なくすることができます。今回ご紹介した内容を参考に、ふだんの愛犬への接し方や行動を見直してみましょう。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
文/宮下早希
※記事と写真に関連性がない場合もあります。