犬の歯のトラブルの大多数を占めるのが「歯周病」。歯周病菌は心臓・腎臓・肝臓などの内臓の病気や、一説には糖尿病や認知症などの一因になりうるとされているので注意が必要です。
そんな歯周病を予防するには、歯磨きで歯垢を落としてあげることが効果的。今回は、歯磨き指導もしている獣医師の白畑壮先生に、歯ブラシを使った歯磨きをする際の確認事項やお悩み解決法について教えていただきました。
犬の歯磨きをする際の確認事項
歯みがき前に一度確認しておきたいのは以下のポイントです。
大事なのは歯周ポケットの掃除
歯の表面を一生懸命磨いている飼い主さんが多いですが、それよりも歯周病予防で重要なのは、歯と歯肉の間の汚れをかき出すこと。歯ブラシを選ぶときは、溝の汚れをかき出しやすい、毛先が細くやわらかいタイプのものがおすすめです。
気合を入れすぎない
飼い主さんが意気込みすぎると、愛犬はいつもと違う雰囲気の飼い主さんに戸惑い、嫌がりやすくなります。磨く力が強すぎても痛がられてしまう場合があるので、飼い主さん自身がリラックスして、スキンシップの延長のつもりで行いましょう。
口腔トラブルがあるなら先に受診を
「口臭が気になる」「歯垢や歯石がついている」「歯肉が腫れている」といったトラブルがある場合は、すでに歯周病になっているおそれがあります。この状態で歯磨きをすると、強い痛みで歯磨き嫌いになることが。受診・治療後に歯磨きを始めましょう。
こんなときどうする? 犬の歯磨きのお悩み解決法
飼主さんが疑問に感じやすいことを白畑先生が解説します。
歯ブラシを噛んでしまいます
歯ブラシを噛んでしまうのは、使っているジェルやペーストがおいしすぎることが原因かも。水やぬるま湯のみで磨く練習をすると、落ち着きやすくなるでしょう。
磨くと血が出てしまいます
やさしく磨いても血が出てしまう場合、すでに歯周病になっているのかもしれません。痛みを感じていることも多く、そのまま続けると歯磨き嫌いになるおそれがあります。動物病院で適切な処置や治療をしてから歯磨きをしましょう。
歯の内側が全然磨けません
実は歯の内側についた汚れは、ヨダレや舌の動きでかなり取れています。内側を磨き始めるのは、外側が上手に磨けるようになり、抵抗なく口を開けてくれるようになってからでも大丈夫です。
歯周病対策に歯磨きは欠かせません。歯磨きに慣れて、愛犬の健康を守りましょう。
お話を伺った先生/白畑壮先生(「プリモ動物病院 古淵/歯科・内視鏡センター」院長 博士(獣医学))
参考/「いぬのきもち」2025年1月号『成功のコツ、すべて教えます 今年こそ歯みがきできる犬になる!』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。