愛犬の歯みがきがうまくできずに悩んでいませんか? 歯周病予防や口腔内腫瘍の早期発見のためにも、歯みがきの習慣化はとても大切です。
そこで今回は、獣医師の白畑壮先生に、歯みがきの基本や臼歯(奥歯)・切歯のみがき方を教えていただきました。
歯みがきの基本の“き”
成功する&効果がある歯みがきには、基本知識の習得が必要です。準備するものや頻度、歯ブラシの持ち方などを確認しておきましょう。
頻度・タイミング
汚れはその日のうちに除去することが理想。最低でも、歯垢が石灰化して歯石になる3日のうちにみがきましょう。タイミングは食後がベターですが、体力を消耗している散歩後や、眠気を催している就寝前がやりやすいでしょう。タイミングを決めておくと忘れ防止になります。
準備するもの
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
歯ブラシは犬用のものを愛犬の歯に合わせて、潤滑油になるペーストは愛犬が好むものを。水だけでもOKです。歯みがきのイメージアップに繋がるおやつも用意しておくと◎
持ち方・力加減
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
グー持ちの「パームグリップ」は、力が入りすぎるのでNG。ペン持ちの「ペングリップ」であれば余計な力が入らず、小刻みに動かしやすいので丁寧にみがくことができます。
歯に当てる加減は、キッチンスケールを押して確認を。はじめは軽めの20g程度、健康な歯で慣れてきたら、徐々に150g程度まで負荷をかけても問題ありません。
臼歯(奥歯)のみがき方
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
臼歯は上に前臼歯8本と後臼歯4本、下に前臼歯8本と後臼歯6本があり、みがく本数が多いうえに、奥にあるので犬が嫌がりやすいでしょう。犬が受け入れやすい上の臼歯からみがくと◎ 食べ物を細かくするときに使う第4前臼歯と下あごの第1後臼歯は、とくに汚れるので重点的にみがいてください。
みがき方のポイント
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
上の臼歯は、口角を上げるようにするだけでみがきやすくなります。左側は人差し指で、右側は親指で口角をやさしく押し上げましょう。
下の臼歯は、指を入れて口を少し開くようにすると、上の臼歯と噛み合わさって隠れている臼歯がみがきやすくなります。次にご紹介する方法1と2のいずれかを試してみて。
方法1
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
方法2
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
マズルを上から包むように、親指と人差し指を上の両犬歯の後ろ側に少し入れます。上の犬歯の後ろ側には歯が生えていない隙間があり、指が入りやすくなっています。
切歯のみがき方
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
上下6本ずつある切歯は、小さくてみがきにくいうえ、敏感な犬が多いので最後に回しましょう。とくにダックスフンドは、鼻を使って穴を探索する狩猟犬だからか、鼻に近い切歯を嫌がることが多いです。
みがき方のポイント
敏感な切歯はとくに時間との戦い。上下ともに切歯を見えるようにして、どちらも手早くみがきましょう。上下の唇を同時に上げ下げする(方法1)か、上唇を持ち上げて(方法2)みがいてみて。時間との勝負とはいえ、慌てるのは禁物です。犬が嫌がるようなら、上の切歯をみがいたら休憩して、下の切歯をみがくようにしましょう。
また、切歯はすき間がなく、歯間に汚れが詰まる犬も多いです。歯ブラシを縦にして、汚れをかき出すように歯間を上から下へ2〜3度動かす「縦みがき」もプラスしましょう。
方法1
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
額に手を添えて、人差し指で上唇を上げ、親指で下唇を下げます。
方法2
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
マズルを上からはさむように、親指と人差し指で上唇を上げます。ブラシを持っている方の手はあごに添えて。
犬の歯みがきは、コツさえつかめばスムーズに習慣化できます。上の写真を見ながらトライしてみてくださいね。
お話を伺った先生/白畑壮先生(「プリモ動物病院 古淵 /歯科・内視鏡センター」院長 博士(獣医学) 日本小動物歯科研究会歯科認定医)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
文/柏田ゆき
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。