大きな地震が起きたその瞬間、どのような行動をとればよいのでしょうか。突然のできごとにパニックになりがちですが、自分の命はもちろん、愛犬の命を守るためには地震発生直後の「初動」がとても大切です。
そこで今回は、「犬と暮らす飼い主さんが自宅で被災した」という被災シナリオをもとに、まずはどのような行動をとればよいのか、災害時のペット問題にも取り組む獣医師の大下勲先生に教えていただきました。
※災害時はさまざまなケースが考えられるため、今回紹介する初動がすべてではありません。
【被災シナリオ】平日の昼、自宅にいるときに震度6弱の地震が発生
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平日の昼、震度6弱(※)の地震が発生。木造一戸建てに住む飼い主さんは、ランチを作ろうとキッチンで湯を沸かしつつ、ダイニングのイスに座っていた。
※震度6弱の揺れは立っていることが困難なレベル。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
このような状況下で、飼い主さんはどのような行動をとればよいのでしょうか。次から詳しく見ていきましょう。
(1)火の確認・消火は揺れが収まってから
イラスト/徳丸ゆう「いぬのきもち」2026年3月号『地震から飼い主を守るのは飼い主さんの「初動」です』
「まずは火を消さなければ」と慌ててしまうかもしれませんが、都市ガスでもプロパンガスでも、震度5以上を感知するとガスの供給が止まります。
揺れている最中に火を消しに行くと、ひっくり返った鍋の熱湯を浴びたり、落ちてきた食器や家電でケガをしたりする危険があるので、火の確認や消火は揺れが収まってから行いましょう。
なお、調理中だった場合は、熱湯や油を浴びないように注意し、すぐにその場を離れてください。
(2)揺れている間は身の安全を確保
イラスト/徳丸ゆう「いぬのきもち」2026年3月号『地震から飼い主を守るのは飼い主さんの「初動」です』
愛犬の居場所がわからないと心配になるかもしれませんが、揺れている間は頑丈なテーブルの下にもぐり、脚を持って揺れに耐え、身の安全を守りましょう。
テーブルがない場合は、カエルのポーズ(腰を落として四つんばいの姿勢)になり、揺れで体が転がらないようにしつつ、周りを見ながら状況を判断。危険を感じたらその姿勢のまま安全な場所へ移動します。
トイレにいるときに地震が起きたら
トイレは構造上揺れに強い場所ですが、ドアが開かなくなる危険も。トイレの中にいるときに地震が起きたら、念のためドアを開けておきましょう。
(3)揺れが収まったらスリッパを履いて愛犬を探し始める
イラスト/徳丸ゆう「いぬのきもち」2026年3月号『地震から飼い主を守るのは飼い主さんの「初動」です』
揺れが収まったら愛犬を探します。ただし、ガラスの破片が飛散しているのに、愛犬を呼び戻すのはNG。ケガの原因となります。飼い主さんも飛散したガラスで足を切ると、愛犬の救出もままならなくなるので、必ずスリッパを履いて足を守りましょう。スリッパが手元にない場合は、タオルを足に巻くなどでもOKです。
足元の安全が確保できたら、愛犬を呼びましょう。このとき、飼い主さんがパニックになると、愛犬にもそれが伝染してしまい、極度におびえたり興奮したりすることが。怖がって隠れたまま出てこなくなることもあるので、深呼吸をしてから、やさしく呼ぶように心がけてください。おやつがあれば、見せながら呼ぶのも◎
(4)愛犬を確保したらリードをつけ避難経路の確保を
イラスト/徳丸ゆう「いぬのきもち」2026年3月号『地震から飼い主を守るのは飼い主さんの「初動」です』
愛犬を救出できたら、首輪にリードをつけて脱走・迷子を予防します。そのうえで、外への避難経路を確保するために、部屋や玄関のドア、地面に続く掃き出し窓を開けましょう。
また、情報収集はスマホやテレビだと見入ってしまうおそれがあるので、停電時でも使える電池式のラジオがおすすめ。避難が必要な場合は、それに向けて行動を開始しましょう。
災害を乗り越えるためには、平時からの備えやシミュレーション、定期的な訓練が欠かせません。小さな地震のときでも、今回ご紹介した内容を試してみてはいかがでしょうか。
お話を伺った先生/大下勲先生(大下動物病院院長 公益社団法人日本獣医師会危機管理室室員 大阪VMAT(獣医療支援チーム)副隊長)
参考/「いぬのきもち」2026年3月号『地震から飼い主を守るのは飼い主さんの「初動」です』
イラスト/徳丸ゆう
文/仲田陽子
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