犬が好き
UP DATE
阪神・淡路大震災を経験した飼い主さんが実体験をもとに語る 絶対に備えるべきものとは?
「家具の下敷きになった愛犬は、ひと目で命がないことがわかる状態。せめて家具をどけてあげたかったけれど、自宅にも火の手が回り、倒れた冷蔵庫に前足をはさまれたもう1頭を助けて逃げるのが精いっぱいでした」
Fさんは迷わずにかかりつけ医のもとまで走りました。かかりつけ医が半壊した院内から鎮痛剤を探し出し、痛みで鳴き叫ぶ愛犬に打ってくれたといいます。
「それから、自転車に段ボール箱をくくりつけ、『とにかくこれで愛犬を助けてくれる動物病院を探しなさい』と私に貸してくれました」
診察可能な動物病院をひたすら探した
「どこをどう走ったかほとんど覚えていませんが、ようやく診察可能な動物病院に駆けこめたのは翌日の夕方ごろ。『必ず助かるから』と言っていただき、先生が貸してくれた車で奈良市の実家に帰ることができました」
愛犬の命を救えなかった後悔が何年もFさんを苦しめましたが「二度と愛犬を災害で失わないと強く誓い、災害への備えをするようになりました」。
震災当時、Fさんを救ったもの
また、愛犬を診て「手術が必要だから預かる」と言ってもらえたとき、初めて涙が出たのを思い出しました。愛犬を受け入れてくれた動物病院にも救われました」
被災体験が変えたFさんの防災意識
「家具の倒壊や物の落下を防ぐため、愛犬が寝る部屋にはケージのみを置き、部屋の入口を開けています。また、車のトランクには常時毛布や折りたためるケージ、水、フードなどを用意。ムダ吠えしないしつけやオイデの指示に従えるトレーニングも行いました」
参考/いぬのきもち2021年9月号「震災から愛犬と私を救ったモノとコト」(監修:ペット防災せたがやネットワーク代表理事・防災士 浜田あゆり先生)
イラスト/Rica
文/佐藤英美
UP DATE