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阪神・淡路大震災を経験した飼い主さんが実体験をもとに語る 絶対に備えるべきものとは?

1995年1月17日、5時46分に関西を襲った阪神・淡路大震災。当時神戸市に住んでいたFさんは、この震災で2頭の愛犬のうち1頭を亡くしました。

「家具の下敷きになった愛犬は、ひと目で命がないことがわかる状態。せめて家具をどけてあげたかったけれど、自宅にも火の手が回り、倒れた冷蔵庫に前足をはさまれたもう1頭を助けて逃げるのが精いっぱいでした」

Fさんは迷わずにかかりつけ医のもとまで走りました。かかりつけ医が半壊した院内から鎮痛剤を探し出し、痛みで鳴き叫ぶ愛犬に打ってくれたといいます。

「それから、自転車に段ボール箱をくくりつけ、『とにかくこれで愛犬を助けてくれる動物病院を探しなさい』と私に貸してくれました」
自宅の写真はすべて燃えてしまい、友人宅に唯一残っていたのが震災の2年前に撮られた写真。右からハルちゃん(震災当時6才)、ナツちゃん(震災当時2才)ともにメス/シェットランド・シープドッグ

診察可能な動物病院をひたすら探した

写真は当時実際に借りた自転車。「車では通れない場所を走れて助かりました。包帯や塗り薬もカゴに入れてくれ、ありがたかったです。以来、自分でも所有するようになりました」
30時間かけて大阪市吹田市にたどりついたFさん。

「どこをどう走ったかほとんど覚えていませんが、ようやく診察可能な動物病院に駆けこめたのは翌日の夕方ごろ。『必ず助かるから』と言っていただき、先生が貸してくれた車で奈良市の実家に帰ることができました」

愛犬の命を救えなかった後悔が何年もFさんを苦しめましたが「二度と愛犬を災害で失わないと強く誓い、災害への備えをするようになりました」。

震災当時、Fさんを救ったもの

イラスト/Rica
「坂道で自転車を押しているとき、出会った女性が『もう少しがんばり!』と愛犬にストールをかけ、みかんを2つくれました。そのおかげで水分がとれました。多くの人が『大丈夫か?』と声をかけてくださり、お店が被災したけれどトイレを快く貸してくれた人も。人のやさしさに助けられました。
また、愛犬を診て「手術が必要だから預かる」と言ってもらえたとき、初めて涙が出たのを思い出しました。愛犬を受け入れてくれた動物病院にも救われました」

被災体験が変えたFさんの防災意識

被災前までは防災意識が薄かったFさん。多くの人に助けられたことで、意識が変わりました。

「家具の倒壊や物の落下を防ぐため、愛犬が寝る部屋にはケージのみを置き、部屋の入口を開けています。また、車のトランクには常時毛布や折りたためるケージ、水、フードなどを用意。ムダ吠えしないしつけやオイデの指示に従えるトレーニングも行いました」
Fさんのエピソードは、他人事ではありません。いつ来るかわからない震災に備えて、今行っている災害対策を見直し、愛犬と飼い主さん自身を守れるようにしましょう。


参考/いぬのきもち2021年9月号「震災から愛犬と私を救ったモノとコト」(監修:ペット防災せたがやネットワーク代表理事・防災士 浜田あゆり先生)
イラスト/Rica
文/佐藤英美
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