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大吉に忍び寄る老い【穴澤賢の犬のはなし】

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先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

少し前から、大吉にある変化が見られるようになった。以前は福助にちょっかいを出されると、しばらくがまんしてから「ええ加減にせいよ!」と反撃していたのに、それをしなくなった。かといってやられっぱなしではなく、うまくかわしながら軽くあしらっている。うっとうしくてしょうがない顔でもなく、「仕方ないなぁ」と半分諦めているようだ。しかしなぜ、やり返さなくなったのか。

手応えがなくなった!?

もう1つは、以前ならぬいぐるみを引っ張り合うのが好きで、腰を入れて強弱を付け、あっという間に腕などのパーツを引きちぎりズタズタにしていたのに、最近は強く引っ張ることがなくなり、ぬいぐるみが破壊されないままになっている。与えても5分も持たず破壊されるから、100均やリサイクルショップに行く度にぬいぐるみを大量に仕入れていたが、消費されないから在庫が減らない。

ちなみに、福助もぬいぐるみを破壊するのが好きだが、ただ噛んで力まかせに引っ張るだけなので、パーツを引きちぎることができない。体の使い方が下手なのだ。昔から、引っ張る力は圧倒的に大吉の方が強かった。なのになぜ、引っ張らなくなったのか。

やはり老いなのだろうか。とはいえ、足取りも軽いままだし、走るときも動きはしなやかで早い。階段もかろやかにスタスタ上り下りできるし、寝ている時間が増えたわけでもない。精神年齢は以前から達観した老人のようだから、特別変化はない。それでもやはり、老いが忍び寄ってきているのだろう。

シニア犬になった実感

大吉は8月で11才になる。考えてみれば、10才になるまでバトルしたりぬいぐるみを引きちぎっている方が珍しいのかもしれない。

それはひとえに福助のおかげだろうと思う。いつも隙あらば大吉に襲いかかり、おもちゃを2つ与えると「これはオレの! そっちもオレの!」と独占しようとする。そのガキンチョぶりは8才になる今も変わらない。精神年齢は3才くらいで止まっている。でもそんな福助がいることで、大吉も「しょうがないなコイツ」と付き合ってやっている中でアクティブさを維持してきたのだろう。そういう意味でも、福助を迎えてよかったと思う。

福助は世界で一番大吉のことが好きだし、大吉も実は福助が愛おしくてたまらない。見ているとそれが分かる。大吉が反撃しなくなっても、福助はなんの気遣いもなく変わらず「オラオラ!」と闘いを挑んでいるが、そのままでいてくれと願う。

思い返してみると、大吉を迎えたのは2011年だから、当時は私も39歳だったことになる。それが間もなく51歳。この11年を一緒に過ごしてきたことになる。私は体力の衰えはそれほど感じないが(若い頃からスポーツ全般に興味がないから動いていない)、大吉よりもおっさんになったことは間違いない。そして、大吉にもいよいよ本格的なシニア期がやってくるのか。

富士丸は7才半で逝ってしまったから、シニア犬との暮らしは知らない。犬の時間は人より早いという。だから大吉の変化を見ながら、ゆっくり一緒の時間を過ごしていきたい。密かにガキンチョ福助に感謝しながら。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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