「人は怖くないよ」と伝えたい——臆病な保護子犬と出会ってもうすぐ2年、これまでの日々で見られた確かな変化

愛犬と出会ったとき、「運命のようなものを感じた」という人もいると思います。

Instagramユーザーの@peetan0620さんは、2020年10月19日に保護犬だったぴーたくんを家族に迎えました。飼い主さんにぴーたくんとの出会いを聞いてみると、「先代犬がつないでくれたご縁ではないか」と感じているといいます。

いぬのきもちWEB MAGAZINEでは、ぴーたくんとの出会いのエピソードや今の暮らしについて、飼い主さんに2回に分けて（1回目取材時、生後約11カ月／2回目取材時、2才）お話を伺いました。

先代犬にそっくりなぴーたくんを見て、運命を感じた

家に迎えた初日のぴーたくん — 体中ノミとダニまみれだったぴーたくん。家に迎えた初日は、おびえてずっと震えていたそう。

ぴーたくんと出会う少し前、飼い主さんは小学生の頃から18年間飼っていた先代犬・ピーチちゃんを亡くしました。社会人になった飼い主さんは実家を離れており、ピーチちゃんが亡くなったことはお母さんからの連絡で知ったといいます。

飼い主さん：
「お寺でピーチのお葬式をして火葬をしてもらい、お別れをしました。18年間しっかりと一生懸命生きてくれた感謝の気持ちとともに、ピーチの最期に立ち会うことができなかったことが今でもとても悔しく、なかなか気持ちを切り替えることができずにいました」

そして1カ月後に法要があり、飼い主さんが再び実家に帰省したときのことです。たまたま以前から登録していたという保護犬猫の里親募集サイトから、通知がきたのだそう。

よく見てみると、先代犬のピーチちゃんにそっくりなコの里親募集が出ていたのだとか。そのコがぴーたくんでした。

初めてしっぽをふりふりしてくれたぴーたくん — 初めてしっぽをふりふりしてくれたときの様子。

ぴーたくんは、山口県防府市の保健所に収容されていたコ。当時生後約4カ月で、生まれてからずっと野犬として生きてきたのだそう。

飼い主さんはぴーたくんを見て、いても立ってもいられず、すぐに保健所に足を運んだといいます。

飼い主さん：
「先代犬のピーチにそっくりなぴーたを見たときに、運命のようなものを感じたんです。ピーチが『いつまでも悲しんで泣いていたらだめだよ』と言ってくれているような気がして。きっと、ピーチがぴーたと出会わせてくれたのだと、今でも思っています。

保健所にいたぴーたは、暗い檻のようなところの隅っこで、ごはんも食べずただただブルブルと震えて。そんなぴーたを見て、『このコを引き取りたいです』と、気づいたら保健所の職員さんに伝えていました」

飼い主さんは迷うことなく、ぴーたくんを家族に迎えると決めたのでした。

ぴーたくんを迎えてからのこと

引き取ったときのぴーたくんは体がひどく汚れており、体中ノミとダニだらけ。

飼い主さんは実家に立ち寄り、ぴーたくんをお風呂に入れてあげてから、飼い主さんが住んでいる福岡県に向かい、動物病院で診察を受けたのだそうです。

飼い主さんは、家に迎え入れたときのぴーたくんの様子をこのように話していました。

飼い主さん：
「ぴーたは家に着いてからもずっと震えていて、数日間は表情もずっと不安そうでした。

ぴーたは部屋の隅やソファの下に隠れるように入っていき、ごはんのときは恐る恐る出てくるけれど、食べたらまた隅に戻る…というのを繰り返していましたね」

家に迎えてから、ぴーたくんに徐々に嬉しい変化が！

ひどくおびえた様子のぴーたくんでしたが、飼い主さんの家での暮らしに慣れてくると、嬉しい変化がたくさん見られるようになったといいます。

たとえば、ソファの下や部屋の隅にいる時間が少なくなったり、飼い主さんのほうに寄ってきてくれたりするようになったのだそうです。

飼い主さん：
「初めて笑顔を見せてくれたときや、初めてしっぽを振ってくれたときは、すごく嬉しかったことを覚えています。

最初の頃はとにかく心配で、仕事などでぴーたを留守番させるときは、見守りカメラをつけました。通勤中とお昼休憩は、そのカメラでぴーたの様子を見るのが日課なのですが、飼い主の心配をよそに、めちゃめちゃくつろいで寝ていて…（笑）　

その姿を見たときは笑いましたし、とても安心しました」

最初の頃と比べると、ぴーたくんはいろんな表情を見せてくれるようになり、家でのびのびと暮らしてくれるように。その姿を見ると、飼い主さんは嬉しくなるといいます。

ぴーたくんは、飼い主さんが仕事から帰るとしっぽとおしりをぶんぶん振って、喜んで出迎えてくれるそうで、飼い主さんは「毎日の疲れが吹っ飛ぶ」とも話していました。

ぴーたくんの成長を実感する日々

体もすくすくと成長し、ぴーたくんの成長スピードに日々驚いていると話す飼い主さん。ほかにも、ぴーたくんの成長を感じる出来事があったそうです。

たとえば、初めてドッグランに行ったとき、ほかの犬との遊び方がわからず、ぴーたくんはうまくなじめなかったのだそう。でも、何度もドッグランに行くうちに遊び方を少しずつ学び、今では自分からほかの犬に寄っていき、上手に遊びに誘うこともできるのだとか。

ぴーたくんは飼い主さんとともに、日々いろんな経験をして成長しているようですね。

ぴーたくんの笑顔を守りたい

ぴーたくんと出会い、幸せいっぱいな日々を過ごしている飼い主さん。ぴーたくんへの思いを、このように話してくれました。

飼い主さん：
「ぴーたは今まで野犬として生きてきて、きっと生きるために必死で、怖い思いもたくさんしたのではないかなと思います。なので、ぴーたには健康で、毎日楽しく幸せを感じてもらえたら嬉しいなと思っています。

できる限り一緒にいろんなところに行き、たくさん楽しい思い出を作っていきたいです。ぴーたの可愛い笑顔をずっと見ていたいと思っています！」

【その後に迫る】2才になったぴーたくん、現在の様子は？

前回の取材から1年が経過し、ぴーたくんは2才になりました。ぴーたくんは、どのようなコに成長したのでしょうか。その後のエピソードについて、飼い主さんに改めてお話を聞きました。

——飼い主さんから見て、ぴーたくんはどのようなコに成長しましたか？

飼い主さん：
「ぴーたは、あっという間に2才になりました！　今でも怖がりですが、前回の取材の頃と比べると、人やほかのわんちゃんへも積極的に寄っていくようになり、成長を感じています。

また、怖がりな反面、かなりやんちゃな性格でもあります。家具やマット、クッションなど、ことごとく壊され…何度買い直したかわからないくらいです（笑）

ただ、その度に少しだけ反省したような表情で見つめてくるので、そこがまた可愛くてたまりません。反省はその一瞬だけで、その後また同じことを繰り返すんですけどね（笑）」

——ぴーたくんは、その後ものびのびと暮らしているようですね！

飼い主さん：
「ぴーたは、家の中ではすっかりくつろげるようになりました。今では、寝るときは一番に飼い主のベッドに行き、『まだ寝ないの？』という顔で飼い主のベッドを占領しています。

また、ぴーたは我が家で一番の早起きで、必ず朝の5時になると、飼い主の横にやってきて無言で見つめてくるんです。それで起きないと、前足を使って鳴きながら飼い主の顔にパンチをしてきます（笑）

『もう少し寝かせてほしいな〜』と思いますが、毎朝のこのやりとりが楽しくて朝から癒されています！」

ぴーたくんへの思いとは

——今年の10月で、ぴーたくんを迎え入れて2年になりますね！　改めてになりますが、ぴーたくんへの思いを聞かせてください。

飼い主さん：
「本当にあっという間で、びっくりしています。ぴーたは毎日笑いと癒しをくれて、『家族になってくれてありがとう』と感謝しかありません。

もちろん、やんちゃでいろいろなことをやらかしてくれるので大変なこともありますが、それも含めて楽しませてもらっています」

飼い主さん：
「まだまだビビリで不器用なところはありますが、これからも時間をかけて、『人は怖くないよ』と伝えていきたいです。

ぴーたと一緒に過ごす時間を大切に——いろいろなところにお出かけして、楽しい思い出をいっぱい作りたいですし、ぴーたの可愛いところをもっと発見していきたいと思っています！」

写真提供・取材協力／Instagram（@peetan0620さん）
※この記事は投稿者さまにご了承をいただいたうえで制作しています。
取材・文／雨宮カイ