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弱ったミツバチをくわえたダップが、軽いアナフィラキシーショックに!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.143

「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
西川先生のパートナー・ドッグ、ダップが以前、弱ったミツバチをくわえて口の中を刺されてしまったそう。ダップはどうだったのでしょうか?(編集部)

異常気象を実感せざるを得ないこの夏ですが、今年の異常さは春先からあったようですね。
天候不順の影響でミツバチの活動が鈍かったらしいのです。
とある地域のサクランボの収穫量が例年の3割まで減ったそうです。
サクランボはミツバチがいないと、受粉が進まない。
受粉の季節は、春、4月下旬頃。その大事な時期に冷え込みが続いたそうです。気温が下がれば、昆虫たちの動きは鈍くなる。
その結果、サクランボの収穫量が激減してしまった、ということらしいのです。
例年の7割減。これを異常と言わずして、何をか言わんや。
あ、そうだ、ミツバチで思い出しました。
何をって、成城スクールとミツバチとダップにまつわる話をです。

ミツバチが紛れ込んできていた成城スクール

私が主宰しているスクールの拠点は、現在、世田谷区駒沢地域にありますが、昨年春までは21年間、世田谷区成城地域にありました。
2000年の5月から昨年の春までは、そこがスクールの拠点だったのです。
教室を始めて、初めてのある夏の日のことです。
夕方、最後のクラスが終わった頃になると、ミツバチが教室内を何匹も飛び回ることに気づきました。
排気口などどこかに巣があるのではないかと考え探したのですが、巣らしきものはどこにもない。
しかも、飛び回るといっても元気にブンブンというのではない。ヨロヨロという感じ。しばらくすると、床に落ち床で羽をバタつかせる。そして、やがて力尽きる。
なんというか謎というか不思議というか、そのモヤモヤ感をしばらくの間抱えていたのですが、あるときその原因がわかりました。
2000年から21年間、拠点にしていた成城スクール。今でも周辺には畑などが多く点在している
Can! Do! Pet Dog School

養蜂を近くで行っていた

現在の駒沢地域もそうですが、世田谷には畑などがまだまだあります(20年前はもっとです)。
成城スクールから50mも離れていないところにも、花や果樹を育てていた畑がありました。
そしてあるとき、その畑に掲げてある、ひとつのディスプレイに気がついたのです。
ディスプレイには、その地で採れたハチミツを販売していると記されていました。
畑の中に目を凝らすと、なんとそこには養蜂箱が何個も置かれていたのです。
合点がいきました。
スクールに夕方飛び込んでくるミツバチたちは、あの養蜂箱に辿り着けない弱ったハチたち。弱っているので、しばらくすると力尽きてしまう、そういうことなのだと。
原因が分かったので、なるべくミツバチが入ってこないように工夫をしたのですが、どうしても入り口の上部の隙間から、数匹は入り込んできてしまう。
力尽き床をばたつくミツバチを回収するのが、夏の黄昏時の日課ともなりました。
起きている間は、ひたすら噛む対象を探して(動くものは追いかけて)、じっとしていなかった3.5カ月齢のダップ

床でばたつくミツバチを口にするダップ

2005年5月にダップがやってきました。
やがてダップにとって初めての夏、ミツバチが迷い混む季節になりました。
やんちゃな彼は、力尽きる前の低空飛行をするミツバチに興味を持ち、床に落ちるとくわえようとするのです。
彼が口にする前にミツバチを回収する。
しかしながら、間に合わないことがある。
結果口の中をミツバチに刺されることとなる。
当然刺されれば痛い。1回で懲りるかと思いきや、ダップはその後2回ミツバチを口にすることになります。
3回目は、顔がむくむように大きく腫れてしまいました。
動物病院に連れていくと、軽いアナフィラキシーショックではないか⁉という見立て。次に刺されると命の危険もあり得るかもと言われてしまいました。
でもそれには懲りたようです。
2度あることは3度ある? いや、3度目の正直?
え、どちらも間違った例え? まぁいずれにしても、以降17年間、ダップがミツバチを口にすることはありませんでした。
弱ったミツバチが部屋に入り込んできて、低空飛行ののち床でバタつく。
読者の皆様におかれましては、そういった状況に遭遇することはないかと思いますが、万が一そうした状況に遭遇したら、犬が追い回して口にしないように(そもそもそんなやんちゃなダップのような犬がいるとは思いませんが)、くれぐれもご注意ください。
以上「成城スクールとミツバチとダップにまつわるお話」でした。
文/西川文二
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『子犬の育て方・しつけ』(新星出版社)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!トイプーぐらし』(西東社)など。パートナー・ドッグはダップくん(17才)、鉄三郎くん(13才)ともにオス/ミックス。
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