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弱ったミツバチをくわえたダップが、軽いアナフィラキシーショックに!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.143
西川先生のパートナー・ドッグ、ダップが以前、弱ったミツバチをくわえて口の中を刺されてしまったそう。ダップはどうだったのでしょうか?(編集部)
天候不順の影響でミツバチの活動が鈍かったらしいのです。
とある地域のサクランボの収穫量が例年の3割まで減ったそうです。
サクランボはミツバチがいないと、受粉が進まない。
受粉の季節は、春、4月下旬頃。その大事な時期に冷え込みが続いたそうです。気温が下がれば、昆虫たちの動きは鈍くなる。
その結果、サクランボの収穫量が激減してしまった、ということらしいのです。
例年の7割減。これを異常と言わずして、何をか言わんや。
あ、そうだ、ミツバチで思い出しました。
何をって、成城スクールとミツバチとダップにまつわる話をです。
ミツバチが紛れ込んできていた成城スクール
2000年の5月から昨年の春までは、そこがスクールの拠点だったのです。
教室を始めて、初めてのある夏の日のことです。
夕方、最後のクラスが終わった頃になると、ミツバチが教室内を何匹も飛び回ることに気づきました。
排気口などどこかに巣があるのではないかと考え探したのですが、巣らしきものはどこにもない。
しかも、飛び回るといっても元気にブンブンというのではない。ヨロヨロという感じ。しばらくすると、床に落ち床で羽をバタつかせる。そして、やがて力尽きる。
なんというか謎というか不思議というか、そのモヤモヤ感をしばらくの間抱えていたのですが、あるときその原因がわかりました。

養蜂を近くで行っていた
成城スクールから50mも離れていないところにも、花や果樹を育てていた畑がありました。
そしてあるとき、その畑に掲げてある、ひとつのディスプレイに気がついたのです。
ディスプレイには、その地で採れたハチミツを販売していると記されていました。
畑の中に目を凝らすと、なんとそこには養蜂箱が何個も置かれていたのです。
合点がいきました。
スクールに夕方飛び込んでくるミツバチたちは、あの養蜂箱に辿り着けない弱ったハチたち。弱っているので、しばらくすると力尽きてしまう、そういうことなのだと。
原因が分かったので、なるべくミツバチが入ってこないように工夫をしたのですが、どうしても入り口の上部の隙間から、数匹は入り込んできてしまう。
力尽き床をばたつくミツバチを回収するのが、夏の黄昏時の日課ともなりました。
床でばたつくミツバチを口にするダップ
やがてダップにとって初めての夏、ミツバチが迷い混む季節になりました。
やんちゃな彼は、力尽きる前の低空飛行をするミツバチに興味を持ち、床に落ちるとくわえようとするのです。
彼が口にする前にミツバチを回収する。
しかしながら、間に合わないことがある。
結果口の中をミツバチに刺されることとなる。
当然刺されれば痛い。1回で懲りるかと思いきや、ダップはその後2回ミツバチを口にすることになります。
3回目は、顔がむくむように大きく腫れてしまいました。
動物病院に連れていくと、軽いアナフィラキシーショックではないか⁉という見立て。次に刺されると命の危険もあり得るかもと言われてしまいました。
でもそれには懲りたようです。
2度あることは3度ある? いや、3度目の正直?
え、どちらも間違った例え? まぁいずれにしても、以降17年間、ダップがミツバチを口にすることはありませんでした。
弱ったミツバチが部屋に入り込んできて、低空飛行ののち床でバタつく。
読者の皆様におかれましては、そういった状況に遭遇することはないかと思いますが、万が一そうした状況に遭遇したら、犬が追い回して口にしないように(そもそもそんなやんちゃなダップのような犬がいるとは思いませんが)、くれぐれもご注意ください。
以上「成城スクールとミツバチとダップにまつわるお話」でした。
西川文二氏 プロフィール
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