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針が刺さったペットフード事件を教訓に、犬の拾い食いを防ぐには|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.144
今年6月に「針が刺さったペットフードを食べた犬がケガをした」というニュースが話題になりました。犬は動きが早く、とっさの拾い食いを止めるのは難しいからこそ、事前の対策を考えておきたいものです。西川先生が、飼い主さん全員に覚えてほしいと力説する、拾い食いを防ぐ散歩の仕方を解説します(編集部)。
少し前に話題になった、ニュースです。
このコロナ禍で、マスクを口にする犬が増え、なかには開腹手術の例もなどの話を過去コラム(Vol.134)でしていますが、そうした事例とは別にこうした悪意に満ちた意図的な行為。こうした事件?は、過去にいくつもあります。
もちろん悪いのはそうした行為を行った犯人?ですが、散歩のさせ方次第で被害は防げます。
ワイドショーのニュースなどでは、飼い主の落ち度に触れるコメントは私が知る限り皆無でしたが、はたしてどうなのでしょう? いま記したように、散歩のさせ方次第で被害は防げるわけですから……。
なんといってもこうした事件の真の被害者は犬です。
今回は、しつこいようですが、散歩中の拾い食いを防ぐにはというお話を再度(再々度?)いたします。

悪意に基づく行為は昔からある
私のスクールでは1999年の発足当時から、拾い食いを防ぐことができるリードの持ち方を、初回にお話ししています。
伸縮リードや胴輪は拾い食いを防げない旨も伝えています。
1999年当時、すでに毒物的なものが置かれ、犬が口にして亡くなってしまう例が多くあったからです。
ネットで調べようとしても古すぎる情報なのでヒットしませんが、記憶を頼りに挙げていけば、毒物の入ったシュウマイが電信柱の脇に置かれていた(東京の中野で)、ラーメンの麺のようなものの上に毒性のある粉末がかけられていた(埼玉の公園で)、毒物を入れた小さなまんじゅう的なものが置かれていた(軽井沢で)……などがありました。
いずれも、数頭の犬が被害に遭いニュースになったと記憶しています。
ネットで確認できる最近の事例
調べるとまだまだ出てくるでしょう。
ネットでの検索にひっかからない事例もあるでしょうから、そうしたものを含めると相当数あるのだと想像できます。
何を言いたいのかというと、悪意に基づいた毒性のある、犬が口にしたくなるものが道に置かれることは、これからもなくならないであろうということ。
そして、そうしたものが置かれているかもしれないことを前提に、安全な散歩をする。その術を、飼い主は犬のために身につける必要があるということ。それを言いたいのです。
しつこいようですがまずは物理的に防ぐ
いずれも飼い主は、首輪だと犬が苦しいからという理由で使っている場合がほとんど。犬が苦しがるのは、飼い主よりも前方を犬が歩いている(引っ張って歩いている)からです。
苦しがるからといって、胴輪などに変えてしまえば、犬は今まで以上に飼い主の前を歩こうとします(伸縮リードの場合は遥か前方を)。
犬に前方を歩かせている限り、拾い食いをしそうな何かを飼い主が犬より先に発見しそれらを口にすることを防ぐ、ということが難しくなります。
散歩は首輪と伸びない普通のリード、その組み合わせで行うことです(コラムVol.26で紹介しているジェントルリーダーおよびイージーウォークハーネスと伸びないリードの組み合わせはOK)。
そして、犬についていくお散歩、犬に引っ張られるような形でのお散歩はしないことです。
行き先は飼い主が決め、犬の行きたがる方にはついていかない、犬に付き合わない。
道の両端から少し離れて歩くことも重要です。
道路は中央が高く両端に向かって下がっています。雨は両端に流れ、落ちているものも道の両端に溜まります。他犬のオシッコの匂いなど、匂い嗅ぎを誘う何かも道の両端にあります。犬に任せる散歩をすれば、犬は道の端を、匂い嗅ぎをしながら歩こうとします(だからこそ電信柱の脇に毒シュウマイは置かれていたわけです)。
さて、繰り返し伝えたいことはまだまだありますが、文字数に限りもありますので、今回はこの辺りで。
他は過去のコラム(コラムVol.25、Vol.26、Vol.43、Vol.89、Vol.135)をご覧ください。
犬を心底かわいいとお思いであれば、事故や事件に合わないように、ぜひとも飼い主としてできることを行うことです。
もう一度言います。拾い食いは防げます。散歩のさせ方、トレーニング次第で。

西川文二氏 プロフィール
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