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6年経って思うこと【穴澤賢の犬のはなし】

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6年経って思うこと

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この原稿を書いているのは2015年10月1日。あれから6年が過ぎたことになる。何があっても月日は流れるのだなと思う。

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毎年この日が来ると、嫌でもあの日の光景を思い出してしまう。あの日というより、翌日から薄暗い部屋で酩酊しながら、雨の音を聞いていたときの記憶が蘇る。本当に泥酔していたから記憶はほとんどないはずなのに、断片的な場面が脳に焼き付いているのだ。

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6年前の10月1日、夜家に帰ると富士丸が息絶えていた。昼すぎに出かけたときはふつうに元気だったのに。だからしばらく何が起きたのかわからなかった。その時点では悲しいとも思わなかったし、涙も出なかった。でもそれは目の前の現実を受け入れられなかっただけで、ひたすら酒を飲んでごまかすことしかできなかった。起きたら「よかったぁ、夢で」となることを信じて、酒を飲んで寝て起きてはまた飲んで寝るということを一週間も続けたのだ。そのとき、ずっとベランダから雨の音が聞こえてきたのを覚えている。

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そのあたりのことは拙著に書いたので省くが、これまで44年生きてきてあれほどきついことはなかった。本当の「絶望」というものをはじめて知った。しばらくは食欲もまったく湧かなかったし、すべての気力を失っていた。よく死ななかったなと思う。今だからいえるが、実際死んでもおかしくない場面もあったし、死んでもいいやと思っていた。

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それから6年が経ってどうなったのかというと、大吉を迎え、福助を迎え、結婚して、昔は大嫌いだった海の近くに移り住んで、波乗りまではじめ、海釣りにはまり、自分でも「お前の環境変わりすぎだろ」と思ってしまう。でも別にそうしたいと計画したわけではなく、気が付いたらたまたまこうなっていたという感じだ。

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何が言いたいのかというと、今何かしらの原因でもの凄く落ち込んだり、どん底にいると思っていても、6年も経てば人は結構変わるよ、ということ。私も別に「頑張って前向きに生きよう!」とかいうタイプではなく、どちらかといえば後ろ向きでいい加減でだらだらしている人間なのに、こうなっているくらいだから。

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もちろん変わらないこともあるけどね、富士丸への想いとかね。今夜はあいつの写真を眺めながら、一杯やろうかな。

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