東日本大震災後の原発事故で、取り残された犬たちの救出活動から始まった被災動物シェルター「SORA(ソラ)」の活動を紹介します。
※保護犬、飼い主さんの情報は2016年10月30日現在の情報です
『SORAアニマルシェルター』がつないだ縁で柴のヤンちゃんと加藤泰一さんが出会い、たくさんの幸せが生まれた
きっかけは震災のボランティア。柴のヤンちゃんとの出会い
東日本大震災の翌月から、ガレキ撤去などのボランティアで定期的に石巻などへ足を運んでいた加藤泰一さん。現地で知り合ったボランティア仲間たち11人で初めて『SORAアニマルシェルター(以降ソラと表記)』へ訪れたのは2013年9月のことでした。
「動物シェルターと聞くと、汚くてかわいそうなイメージでしたが、ソラは掃除も行き届いていてきれい、しかもみんな親切。愛情いっぱいの環境で保護されている犬たちはまったくかわいそうに見えませんでした」と加藤さん。以降、月に1~2回の頻度で通うようになりました。
加藤さんは以前、赤柴のごろくんという犬と暮らしていましたが、ごろくんが17才で天寿を全うしてからは、新しい犬を迎えることはないままでした。一方で、ソラにはごろくんと同じ柴がいました。震災後、南相馬と浪江の境で保護されたそうです。保護された柴は、ほかの犬は苦手でも、人が大好きなヤンチャっこ。ソラではヤンちゃんと名づけられ、みんなにかわいがられる存在となりました。
仲よしペアで幸せに。家族も賛成し迎え入れた
同じ柴ということもあり、ごろくんとヤンちゃんを重ねて見ることもしばしばあった加藤さんは、ソラに来るたび、ヤンちゃんの散歩を欠かさず担当。いつしかみんなが認める仲よしペアになっていました。そんな加藤さんの姿を見たソラの代表の二階堂利枝さんたちは、ヤンちゃんを迎えてみてはどうかとすすめるようになりました。加藤さんはすぐさま同居する両親と祖母に相談。こうして、満場一致でヤンちゃんを迎えることが決まったのです。
ボール遊びが大好きなヤンちゃん。たくさん遊んでもらえて幸せそう
「今では夕方の散歩は両親が率先して行い、家族みんながかわいがってくれています。とくに母は、シェルターでお世話になった皆さんに、現在のヤンの様子を伝えたいという思いから『ヤンちゃん通信』というブログまで始めちゃったんですよ」と加藤さん。今もソラでのボランティアは続いています。
アイコンタクトをとりながら散歩をする姿は信頼関係をうかがえる
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出典/『いぬのきもち』2017年2月号
取材・撮影・文/尾﨑たまき