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犬と人は脳波がシンクロしていた?【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

最近『【人と犬はマブダチ】見つめ合うと「脳波がシンクロ」すると判明!』という記事を読んだ。それによると、これまで犬と飼い主は強い絆で結ばれているといわれてきたが、その根拠は定かではなかった。

過ごした時間と共に絆が深まる

しかし、ある実験によって、犬と人は脳波がシンクロする研究結果が発表されたのだ。人間同士で脳波がシンクロすることは知られていたが、違う種でシンクロするのが確認されたのは初めてのことらしい(研究の詳細は2024年9月11日付で科学雑誌『Advanced Science』に掲載)。
実験では、①犬と人が別々の部屋にいるケース、②犬と人が同じ部屋にいるが触れ合わないケース、③犬と人が同じ部屋でなでたり抱きしめたり目を合わせたりするケースで、10頭の犬それぞれの脳波の変化を5日間計測した。
すると、①では犬と人の脳波はバラバラだったが、③のケースでは5日目に犬と人の脳波が高いレベルでシンクロする結果が出た。犬と人は初対面だったのに。これは時間の経過と共に絆が深まっている証拠ではないかという。
これは犬と暮らす人なら、なんとなく実感していることではないだろうか。犬を迎えた当初は、特に子犬だと何を考えているのか何をするのか全然読めないけれど、一緒に過ごすうちにだいたい分かるようになっていく。それは性格や気質、変なくせなどもあるが、目やちょっとした行動を見ただけで何を訴えているのか、何をしたいのか、自然と伝わってくるようになる。
それが私から犬への一方通行ではなく、どうも犬も私のことを分かっているっぽいと感じることはよくある。たとえば幼いころは、いつでも遊べ遊べ、かまってかまってとアピールしてくるが、そのうち「今は仕事中なんだな」と理解してそこら辺で昼寝するようになる。
ところが、たまに友人宅の犬と触れ合ったりしても、やっぱりよく分からない部分がある。伝わってこないのだ。
それが脳波のシンクロとどのくらい関係があるのか分からないが、長く一緒にいるとまさに以心伝心の関係になる。

犬と人、波長が合うとは?

先代犬の『富士丸』とも、そんな関係だった。30平米ない1DKで「ひとりと一頭」で暮らしているころは、お互いに理解し合い、そこにいるのが当たり前の空気のような存在で、ほどよい距離感で居ながらも、どちらにとってもなくてはならない関係だった。
人間同士でも、「波長が合う」とか「馬が合わない」と感じることがあるが、そこにも脳波のシンクロが関係しているらしい。けれど、犬と人の関係とは少し違う。
どんなに気の合う友人でも、一緒に暮らす夫婦でも同じ空間にずっと一緒にいると息が詰まるが、犬に対してそう感じたことは一度もない。それが謎だが、私にとって犬はそういう存在なのだ。
大吉と福助とは、富士丸と過ごした7年半を超えて、大吉にいたっては倍近く長く暮らしているが、これからも一緒に居たいし、少しでも長く続いてほしいと願っている。
(補足)
この実験によって違う種で脳波のシンクロが確認されたのは犬が初めてとのことだが、少し疑問が残る。実験されていないだけで、猫だってシンクロしてるんじゃないか? というかしているとしか思えない。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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