先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
前回、2025年にやりたいこととして、キッチンのリフォームと工事期間中の旅行と書いたが、もう1つ忘れていたことがある。
大福と山に登りたい!
それは、犬と登山である。2023年末頃に初めて犬連れ登山をやってみたが、犬たちがあんなにうれしそうに登るとは思っていなかった。特に福助はグループの先頭を歩きたいらしく、常にずんずん進んでいた。私はそのお尻を見ながらついて行くわけだが、ずっとしっぽフリフリで上機嫌なのであった。
大吉はきっと喜ぶだろうと思っていたが、まさか福助が登山好きだとは思わなかった。それならもっと早く山登りを始めるべきだったと、ちょっと後悔したほどだ。
2024年には泊まりで山に登ったが、それがまた楽しかった。頂上付近の山小屋はだいたい圏外なので、スマホを見ることもなく、夕方からみんなでお酒を飲んで20時頃には就寝する。なんだか世間から切り離されたようでリフレッシュするから、定期的にそういう時間は必要ではないかと感じた。
登山靴も登山用リュックも買った。だからもっとたくさん大福と登山しよう。もともと登山好きの「ヤマト家」から「今度一緒に山登ろうよ」と誘われたときは、「お金もらっても行かない」と行っていた私がまさかこうなるとは。
20代・30代の私を知っている友人はきっと「お前が、登山?」と笑うだろう。でも大福が喜ぶことなら、私はやる。だから犬が登れない山に行く気はない。
そして登山は健康にもいい気がする。50代になり基礎代謝が落ちていているからいい運動になるし、体力がないと途中でバテるから日々の筋トレなどもやる。ちなみに現在も腹筋ローラーを毎朝100回やっている。
幸い、今暮らしているところは近くに山がたくさんある。登山口に行くのに高速なんて使わなくたっていい。昔は登って降りて何が楽しいんだ? とばかにしていたが、登って降りるのが楽しいと知った。
そんなわけで、今年は大福とたくさん山に登ることも目標に加えたい。きっと彼らも大喜びするだろうな。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。