先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
5月末、大福を連れて葉山の動物病院に行った。どこかが悪いわけではなく、健康診断を受けるためだ。八ヶ岳から葉山まで高速道路を使っても3時間くらいかかるのに、なぜわざわざ行ったのかというと『
葉山まほろば動物病院』の上田先生を信頼しているからだ。以前からずっと大福を診てもらっているので記録もあり、比較することで体調の変化も分かるしね。
早期発見にもつながる定期検診
大福は「血液生化学検査」を受けている。一般的な血液検査は、赤血球、白血球、血小板などの数や状態を調べるのに対し、血液生化学検査は血液中のタンパク質、糖、脂質、酵素などを測定して、臓器の機能や栄養状態などを細かく見られる。
つまり、異常があればいち早く気づくことができる。費用もそれなりにかかる。しかも7才からは半年に1度の頻度で検査したほうがいいといわれているので、大福ともにそのようにしている。
検査に費用がかかるといっても、発見が遅くなったときの治療費を考えれば高くはないと思っている。それに早期発見だとできる治療の選択肢も増えるはず。というような理由から、私は血液生化学検査を受けさせるようにしている。
ちなみに、先代犬の
富士丸も定期的な健康診断は受けていた。でもその頃は血液生化学検査というものがあることすら知らなかった。直前に受けていた健康診断でも異常はなかった。
血液生化学検査をしていれば突然死を避けられたのかどうかは、分からない。避けられないこともあるだろうと今でも思っている。ただ、もう後悔はしたくないから、受けないよりは受けておいたほうがいいよね、という考えだ。
そして妻と私も、年に一度は健康診断は受けるようにしている。私たちに何かあれば、大福が困るからだ。30代前半の頃、夜な夜な高円寺や下北沢で飲んだくれていた人間とは思えぬ変わりようである。酒はまだ飲んでるけど。
そんなわけで、大福の採血と10種混合ワクチン、あとノミ・ダニ・フィラリア予防薬をもらって診察は終了した。しばらく腰越(鎌倉市)と八ヶ岳(原村)の二拠点生活だったから、また3時間運転して帰るのは平気だが、大福からしてみれば時間をかけて移動して嫌なこと(彼らにとって)をしただけになってしまう。それでは悪い気がして、途中で一泊して帰ることにした。
キャンプ場で大福と過ごす
向かったのは『
河津七滝オートキャンプ場』。犬OKで、なんとキャンプ場なのに温泉がある。思いのほか移動に時間がかかり、到着したのは16時頃だったが、大福は大喜び。動物病院で注射されたことなど忘れてくれたかな。特に何もないキャンプ場でビーフシチューを作ってバンガローで寝ただけだけど、彼らにとってはホテルや旅館より楽しめただろう。
このときのもようは
インスタにアップしたので見てみてね。敷地内にヤマメが釣れそうな川も流れていていいところだよ。
そして帰宅して数日後、上田先生から連絡があった。昨年末同様に、大福ともにまったく問題なしとのこと。福助は11才、大吉は8月で14才になるから内心ちょっと心配だったが、ほっとした。どんなに嫌がっても動物病院には連れて行くが、大福が快適にのんびり暮らせるようにすることが私の役目で、元気でいてくれることが願いだ。この状況が少しでも長く続けられるよう、年末にまた検査しよう。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。