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保護団体はなぜ厳しいのか【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

最近、この連載や私の本やブログを長年読んでくださっている方と話す機会があった。先代犬を亡くし、新しい飼い主を募集するWebサイトで犬を迎えようとしたが、ものすごく大変だったと言っていた。

保護団体の譲渡基準は厳しい

1番のハードルは年齢で、60歳を過ぎた人には譲渡できないと保護団体から断られまくったという。それでも諦めず、根気よく探してようやく14才になる犬を迎えることができたと喜んでおられた。
その方と色々話す中で、たしかに迎える側からしたら「厳しいよな」と思った。ただ、私はライターとしていくつかの保護団体に取材して聞いた話から、譲渡する側の気持ちも知っている。これまでも何度か書いたことがあるが、まだまだ知らない人が多いと思う。なので、改めてそのあたりのことを改めて書いておくので参考にしてほしい。
まず、何も知らずに飼い主を募集している犬(猫)を迎えようと保護団体に連絡すると、その壁の高さに驚くと思う。条件面でもそうだが、質問される内容にも。
団体によって多少異なると思うが、最初のアンケートでは、年齢、年収、家族構成くらいまではまだ分かるが、さらに家は持ち家なのか賃貸なのか、子どもがいるのかいないのか、いないならつくる予定はあるのかなど「そんなもん親しい友人でも聞かんだろう」的なプライベートな部分をガンガン聞いてくる。
だから多くの人は、この段階で「なんて高飛車なんだ」と気分を害する。それならいいよと、もっと丁寧に対応してくれるペットショップやブリーダーに行ったりする。
けれど、分かっておいてもらいたいのは、保護団体はサービス業ではないということだ。ペットショップやブリーダーは商売である。ここに大きな違いがある。

保護団体の考え方を理解して判断する

保護団体は、言い方は悪いが犬(猫)を「商品」としては扱っていない。むしろ、商品として売られている犬(猫)を軽い気持ちで買ったけど飼いきれないと手放された犬(猫)を「保護」している立場なのをまず理解して欲しい。
そんな経緯で保護されている犬(猫)に対して、「うちで引き取ってもいいよ」くらいの軽い気持ちで手をあげる人がいたとして「ありがとう、はいどうぞ」とはならない。同じ思いはさせられないからだ。このあたりに温度差がある。
引き取る側からしたら、自分は善意だと思っているかもしれないが、そんな人ばかりではないのだ。保護団体は、引き取るふりして悪質な相手が存在することも知っている。だからこそハードルを高くしているともいえる。
なので、本気で飼い主を募集している犬(猫)を迎えたいなら、「試されている」くらいの気持ちで挑んだ方がいい。
そんなにハードルが高いなら気が進まないと思うなら、やめておけばいい。ただ、高飛車にならざるを得ない理由があるということだけでも知っておいてもらいたいと思う。それを知っているだけで、ド直球の質問に感情的にならずに済むし、無事に譲渡された後は、保護団体の態度がコロッと変わって親しくなったりするからだ。
それはそれとして、年齢だけで門前払いされる方も辛いと思う。たしかに60才を過ぎて大型犬のパピーを迎えるのは体力的に厳しい部分もあるが、小型犬や中型犬なら大丈夫だと思うから。
だからもし、年齢で断れたとしても諦めないで欲しい。保護団体の中には、年齢だけで切らないところもあるからだ。
とはいえ、譲渡基準が甘いわけではなく、しっかりした面談がある。他にも、探せばそういう保護団体もあると思う。
1度犬(猫)と暮らしたことで、彼らがそばにいないと生きる意欲がわいてこなくなる体質に変えられてしまうことがある。私もそうだが、そんな人のところに飼い主を募集している犬(猫)がもっとすんなり行けるようになればいいのになと思ってる。でも、そもそも保護団体が保護しないといけない犬(猫)がいることが問題なんだけど。
冒頭で触れた犬は、11年間粗末な環境で飼われて放棄され、保護団体で3年暮らしていたそうだ。引き取られた家で今頃、たくさんなでてもらっているといいなと思う。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
『犬のために山へ移住する』(草思社刊)
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