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どこまでも自分本意な大吉「穴澤賢の犬のはなし」

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どこまでも自分本意な大吉

もう慣れてしまっているが、大吉を見ていると「犬として、それはどうなの?」と思うことが結構ある。まず、この前書いたように、朝なかなか起きない。寝室の同じベッドで寝ていて、私が早起きして(暑くなる前に)玄関で散歩に行く準備をしているのに、何度も呼ばないと降りて来ない。あげく、だるそうにゆっくり降りてきて、迷惑そうな顔までするから信じられない。

それ以外でも、私が出かけるとき、見送りにも来ない。支度をしていると、大吉は「あれ? もしかして、一緒に出かける?」と期待の眼差しを向けてくるが「いや、違うから。お前ら留守番だよ」と言うと、途端にテンションが下がり、とっとと3階の寝室へ消えたりする。出かけるときに「じゃ、行ってくるねー!」と声をかけても、降りても来ない。

そして数時間後、帰宅したときも出迎えには来ない。玄関のドアを開けても、シーンとしている。その前に郵便物はないかポストを開けたりしているので、犬の嗅覚からしたら気がついていると思うが、降りては来ない。

その後、洗面所で手を洗ったり、冷蔵庫を開けてお茶を飲んだりしていても、うんともすんとも聞こえないので、「もしかして、体調でも悪いのか?」と心配になって寝室を覗きに行くと、ベッドの上でダラダラしながら「あ、帰って来たの?」という顔をしたりする。絶対気づいていたくせに。

留守番が6時間を越えてくると出迎えには来たりするが、それは「遅い!」という抗議の意味が濃いようだ。犬というのは、常に見送りとか出迎えはするもんじゃないか?と思うが、彼らは基本的にしないらしい。こうした行動の主犯格は大吉で、福助はその横で無邪気にしっぽを振って喜んでいたりする。

さらに大吉は、晩酌しているときなどに、ふとおすそわけを与えようとかと差し出しても、興味がないと、露骨にそっぽを向いたりもする。こういうとき、福助は喜んでなんでも食べるが、大吉はだいたい「気分」と「好き嫌い」で生きている。今思えば富士丸も、そういう部分があった気がする。いったいなぜ、そんな性格になるんだろう。犬は飼い主に似るというが、もしかして私のせいなのか? まさかね。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。株式会社デロリアンズ代表。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。
ブログ「Another Days」


大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雪と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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