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僕が獣医師を目指した理由|獣医療の最前線から vol.4

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佐藤貴紀

よく「なぜ、獣医師になったんですか?」と診察に来た時、子供の飼い主さんから聞かれることがあります。
ある小学校では、男の子のなりたい職業の3位が獣医だったそうです。今や憧れの職業みたいですね。

僕がどうして「獣医師」になったのか?

今回は、獣医師になりたいと興味を持っている子や、目指している方の参考になればと思い、獣医になった経緯をお話ししたいと思います。

愛犬ラッキーの突然のケガ

佐藤先生の愛犬ラッキー
佐藤先生の愛犬ラッキー

獣医師になるきっかけは、小学生のころ、愛犬・ラッキーと暮らし始めてからです。
まさに、僕の獣医人生がここから始まったとも言えると思います。
嬉しいときも、悲しいときも、いつもラッキーとともにしてきました。友達でもあり、相棒でもあり、家族の一員でした。いつまでも、僕と一緒だと思っていました。

しかし、僕が中学生で、ラッキーが6、7才くらいの時です。

僕を見たラッキーが、いつものように嬉しがって飛びかかろうとした瞬間、「キャン」と大きな声で鳴いたのです。たぶん、首に強い刺激が加わったんだと思うんですが、後ろ足が全く動かなくなり、前足だけで体を支えている状態でした。

僕はビックリして、父と母と一緒に、泣きながらラッキーを抱えて動物病院に駆け込みました。その日、すぐに入院となったのです。

原因不明の病気からの回復をきっかけに

しかし、1週間の入院にもかかわらず、後ろ足が動くことはありませんでした。獣医師からは「原因もわからない」と言われたのを今でもはっきり覚えています。
どうして動かないのか?どうしたらいいのか? 僕は、何がなんだかわからずに、頭がパニックになるばかりでした。
父と母に「マッサージをするといいんだよ」と言われるがまま、必死に後ろ足のマッサージをしていました

そして、約1ヶ月後。
少しずつラッキーの後ろ足に力が入り始め、よろよろしながらではありますが、歩けるまでになり、少しづつ復活することができました。

しかし、病名は分からないままでした。

この瞬間、僕は「獣医師になりたい」と強く思ったのを今でも覚えています。

動物病院という動物を治す病院があり「獣医師」という職業があること。
そして、ラッキーみたいに病名もわからない病気を解明して、一頭でも多く犬や猫を治してあげたいと思った気持ち。
子供ながら、懸命にマッサージをして回復が見られた時のあの喜び。
この様々な思いが獣医師になるきっかけになりました。

獣医大学を目指して

佐藤先生の愛犬・ラッキー
佐藤先生の愛犬・ラッキー

ただ、道のりはそう甘くはありませんでした。
獣医大学に行くのに猛勉強をした記憶があります。

中学生卒業後は、獣医大学附属の高校に入学しました。
獣医になる為には、条件がありました。高校3年生の時に、理系進学クラスに入ること。
そして学力の順位も学年全体で10番である事。
この2つの条件を、クリアににしなければなりません。
この他、高校3年生のときには附属大学に行く為のテストも小論文も面接もありました。
付属高校に入れば誰でも獣医学部に入れると思っていた自分が甘かったのです。

何が言いたいかというと、まず獣医大学に入るにも、それ相当の努力が必要だということです。簡単ではないと言うことです。
動物の命を預かる仕事をするためなのですから、当たり前かもしれません。

僕は僕なりに努力をした結果、ストレートで附属の獣医学部に無事に入学する事ができました。
しかし、これで終わりではありません。
ここから、6年生のカリキュラムに入ります。

あらゆる動物について学ぶ獣医大学と国家試験

大学では、犬や猫などの小動物から、牛や豚などの大動物まで、あらゆる動物と言う動物のことを勉強しました。
現在の大学では、もう少し細分化されているのかもしれません。しかし、僕がいた約20年前は、どちらからというと大動物の勉強の方が多く、小動物に進もうと思っていた自分には大変だった記憶しかありませんでした。独学で、犬や猫のことを勉強した事もありました。

6年間、大学で勉強すれば獣医師になれるわけではありません。
人間のお医者さんと同じで「国家試験」があります。これに、合格しなければ「獣医師」にはなれません。
国家試験は、毎年70~80%の確率で合格します。
そして、毎年1000人くらいの獣医師が誕生するとも言われています。

国家試験の勉強は、早い人で6年生になった直後から開始する人もいますが、普通は試験の半年前から勉強を開始します。

僕なりの、獣医師になるための国家試験に合格するコツは…
合格に必要なポイントだけを集中的に勉強をするということです。
細かいところまで覚えたり調べると、必要ない部分まで勉強してしまうことになります。
そして、一人で勉強するのではなく、同級生など仲間と一緒に勉強しました。励みにもなりますし、グループで勉強する方が効率がよかった事を記憶しています。

ひたすら勉強し、2日間の試験を終えました。結果発表まで2、3週間くらいありましたが、無事合格し、晴れて獣医師になることができたんです。

合格した時の気持ち。
それは、一つの道に向かい続けて、一生懸命やった成果が、やっと得られたと言う気持ちでいっぱいでした。

本当のスタートは獣医師になってから

ただ嬉しがってはいられませんでした。
獣医師になってからが本当のスタートです。幾つもの「命」と向き合わなければいけません。現実に、「命」を預かる立場にあるのです。

正直、大変な事も多いです。
しかし、毎日やりがいがあり、そして命の尊さ、動物への愛情を感じながら、医療に今も取り組んでいます。
1つの命を救い、飼い主さんに涙を流して「ありがとう」と言われると、本当にこの仕事をしてよかったと思います。


文/佐藤貴紀
※写真は佐藤氏以外「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

佐藤貴紀 プロフィール

佐藤貴紀

獣医循環器学会認定医。麻布大学獣医学部卒業後、西荻動物病院、dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長に就任。2008年白金高輪動物病院を開業。中央アニマルクリニックを附属病院として設立し、総院長に就任(現在は顧問獣医師)。動物病院のグループ化を進めるJVCC動物病院グループ株式会社CEO。東京都目黒に開院したJVCCグループ二次動物医療センター目黒病院のセンター長であり、自身の専門である「循環器」科を担当。愛犬はミニチュア・シュナウザーのまりもちゃん

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