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動物を処分する施設から生かすための施設へ! 生まれ変わった神奈川県動物愛護センターの取り組みとは
今回は、2013年に都道府県の自治体では初めて『犬の殺処分数ゼロ』を達成し、2019年に施設の全面的な建て替えを行い、2019年6月に新施設へ生まれ変わった「神奈川県動物愛護センター」。
全国からも注目される新たな取り組みについてご紹介します。
開所当初のセンターの役割と、目を覆いたくなる過去
もともとの設立は1972年。同地に『神奈川県犬管理センター』として開所されました。
「開所当初のセンターの役割は、迷子犬を飼い主さんへ返還すること。
放浪犬や野犬、飼育放棄された犬の殺処分をすること。
そして狂犬病発生の予防でした。
今では考えられませんが1990年代初めまでは、県内の各所に『不要犬収集所』が設けられ、そこから集められた犬がセンター内の処分機で殺処分されていたんです。
また、学術研究機関に実験動物として出されていたことも」
と、センターの愛護・指導課課長で、獣医師でもある上條光喜さんはつらかった過去を振り返ります。
開所翌年の1973年には、収容された犬は約2万頭で、そのうち約1万8000頭が殺処分されたとか……。
2013年に全国で初めて殺処分ゼロを達成
まずはセンター内で避妊・去勢手術を施したうえで『子犬の譲渡制度』を開始し、
県民を対象にした動物愛護教室も開催していくことになったんです」
1977年には、動物保護を目指す施設に変わっていこうと、名称を『神奈川県動物保護センター』に改めました。
その後、長い年月にわたる施設職員の地道な努力と、譲渡ボランティアたちが収容犬を積極的に引き出すなどの協力もあり、
同センターは2013年、都道府県の自治体では全国に先駆けて『犬の殺処分ゼロ』を達成しました。
動物愛護の拠点を目指し、新センターが完成
また、『殺処分ゼロ』というのは、神奈川県全域でというわけではなく、当センターが管轄する26市町村でということになります。
ただ、これを機会にうちのセンターが全国に知られるようになりました」と上條さん。
さらに「人と動物がともに幸せに暮らせる社会を目指す動物愛護の拠点」を目指し、2018年に建て替え工事を開始。
「動物を処分するための施設」から「生かすための施設」に移行し、2019年6月に、『神奈川県動物愛護センター』として、生まれ変わりました。
出典/「いぬのきもち」2020年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・文/袴 もな
撮影/筒井聖子
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