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「日本から動物を収容するセンターをなくしたい」愛護センタースタッフが考える究極の理想
全国からも注目される新たな取り組みと、施設内の目を見張る設備について紹介します。
災害時専用の倉庫を新たに設置
犬の検疫室、伝染性の疾患のある犬の隔離室、医療設備が整えられた手術室などが完備されています。
手術室では、収容犬の避妊・去勢手術を以前よりも数多く行うことが可能になったそう。
また、印象的だったのは、災害時専用の倉庫を新たに設けたこと。
倉庫には、90頭分のケージ、屋外避難時用の大型テントが7つ、犬と猫、合わせて約350頭が1週間食べられる量のフードなどを備蓄。
「現在は、旧施設の建物がそのまま残っていますが、今後は取り壊しを行って、災害時に飼い主とはぐれて放浪している犬、負傷している犬などの救護拠点として整備していく予定です。
平常時には、収容犬の運動場として利用できれば」と上条さんは将来のプランを話してくれました。
犬たちが快適に過ごせるよう工夫が凝らされた設備
犬がバルコニーに出ることができる、明るい日差しが差しこむ個室や、犬を室内で飼う雰囲気が具体的にわかるように、家庭のリビングを模して作られたモデルルームなどがあります。
犬たちが収容される部屋はブロックごとに冷暖房の調整が可能。床材は犬が足を痛めないための専用の素材が選ばれています。訪れた見学者はフェンスやガラス越しに犬たちの様子を見ることができます。
「新施設になって、犬は約75頭が収容可能で、現在は約25頭の犬たちがいます。新たに作られたグルーミング室では、一般の人々がシャンプーやトリミングの体験講習を受けることもできるんです」
動物を収容するセンターが必要のない社会を目指したい
しかし、最後に上條さんは、
「ここはあくまでも、犬を一時的に収容する場所。最終的にはすべての犬を譲渡することが目標です。とはいえ、病気や噛みグセなどで譲渡が難しい犬がいるのも事実。現在、噛みグセなど問題行動がある犬は、プロのトレーナーに来てもらって訓練してもらうなどの取り組みを始めています。そして、最終的には、動物を収容するセンターが日本からなくなることが理想であると思っています」と熱く語ってくれました。
出典/「いぬのきもち」2020年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・文/袴 もな
撮影/筒井聖子
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