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明日もいっしょにおきようね【穴澤賢の犬のはなし】

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最近は、朝暑くなる前にと5時半ころに目覚ましをかけ、散歩に行く支度をして玄関から「お前ら、行くぞー!」と呼ぶのが日課になっている。そうすると、眠そうな顔でだるそうに2階の踊り場に福助、大吉の順で現れて、仕方ないなぁと階段を降りてくる。

付き合ってやっている大福

一緒に3階の寝室で寝ているのだが、私が起きると同時に飛び起きて後を付いてくるということは、一切しない。彼らの中では、私の早起きに仕方なく付き合ってあげている、ということになっているらしい。

それはそれで納得いかないが、階段を降りてくる彼らの足取りを見ながら、心の奥で「今日も元気そうで良かった」と思う。そんな日常のことは忘れがちになるし、かつては私もそうだったが、富士丸との別れで「昨日まで元気だったから今日も元気だとは限らない」ということを経験したから、いつも心のどこかに小さな不安は残っている。これは一生消えないのだろう。

今回のタイトルの由来は?

「明日もいっしょにおきようね(草思社)」というのは、私が2012年に出した絵本のタイトルだが、これは絵を担当したイラストレーターの竹脇麻衣さんの案だ。保健所で注射を2本打たれても死ななかった猫の実話なのだが、編集者やデザイナーの岡優太郎さんを交えて、みんなでタイトルをどうしようかと話し合っている席だった。

「奇跡の猫とかだと、なんか嘘くさくなるしねぇ」と困っているときに、竹脇さんが「明日もいっしょにおきようね、とかどうですかね?」と言ったのだ。聞けば子どもの頃、毎晩寝る前に母親とそう言っていたという。全員一致で「じゃ、それでいこう」となったのだが、今はまさにそんな心境だ。

お互いに年をとった

気がつけば当時幼かった大吉は9才になり、警戒心の塊で破壊王だった福助も、性格も体型も丸い6才になった。定期的に健康診断もしているし、どちらも何の問題もないが、だから大丈夫だとは安心できない。かといって、四六時中不安がっているわけでもないが、毎朝思い出す。きっと多くの飼い主は同じ気持ちなのかもしれない。

彼らが先に逝くことは分かっているし、自分が先に死ぬわけにはいかないのだが(2年前に死にかけたけど)、ただただ明日も元気でいてくれよと願う。彼らはそんな気持ちなんかどこ吹く風で、今朝も迷惑そうな顔をされながら散歩に行った。それでいいよ、と思いながら。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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